コラム

ECのコホート分析|リピート率を改善するGA4・Excelでのやり方と活用例

ECのコホート分析|リピート率を改善するGA4・Excelでのやり方と活用例
目次

コホート分析とは、共通の属性や購入時期を持つユーザーをグループ(コホート)に分け、その後の行動を時間経過とともに追跡する分析手法のことです。ECサイトにおいて、初回購入月ごとの継続率を可視化することは、LTVを最大化させるために欠かせません。LTVとは、一人の顧客が生涯を通じて自社にもたらす利益の総額のことです。本記事では、GA4やExcelを用いた具体的な分析手順から、実務に即したリピート施策への活用例までを詳しく解説します。

ECサイト運営においてコホート分析を活用するメリットは以下の通りです。
・時期やキャンペーンごとに獲得した顧客の「質の差」を正確に把握できる
・リピート率が急落するタイミングを特定し、離脱防止のクーポン配信などを最適化できる
・短期的な売上だけでなく、継続購入につながる真に効果の高い施策を見極められる

「データが分断されていて分析に手間がかかる」「分析しても具体的なアクションに繋がらない」という課題は、サイト内検索やWEB接客、MAを1つのデータ基盤に統合することで解決します。まずは分析の基礎をマスターし、データに基づいた改善サイクルを構築しましょう。

ECサイトでコホート分析が重要視される3つの理由

ECサイトの成長においてコホート分析が重要視されるのは、顧客の行動を時間軸で捉え、より深く理解するためです。
コホート分析を用いることで、サイト全体の平均データだけでは見えてこない顧客の質の変化を可視化し、LTV(顧客生涯価値)の最大化や施策効果の正確な測定が可能になります。
この分析の意味を理解することが、データに基づいた意思決定の第一歩です。
ECサイトの分析方法については「EC分析の注目すべき数値と手法」で詳しく紹介しています。

理由1:サイト全体の平均データでは見えない顧客の質の変化を捉えるため

サイト全体の平均継続率や平均購入単価といったデータだけを見ていると、重要な変化を見落とす危険性があります。
例えば、全体の平均継続率が変わらなくても、ある時期に獲得した顧客グループの質が著しく低いかもしれません。
コホート分析を用いることで、「2月に獲得した顧客は定着率が高い」「特定のキャンペーンで獲得した顧客はLTVが低い」といった、グループごとの質の変化を捉えることが可能です。

この意味を理解すれば、どの顧客層に注力すべきか、より明確なデータに基づいた判断ができます。

理由2:顧客の離脱タイミングを特定し、LTV(顧客生涯価値)を最大化するため

LTV(顧客生涯価値)とは、一人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益の総額を指します。
コホート分析では、顧客が初回購入から何か月後に離脱しやすいのか(継続率が下がるのか)を正確に特定できます。

例えば、「初回購入から3ヶ月後の継続率が大幅に低下する」というデータが分かれば、そのタイミングに合わせてクーポンを配布したり、特別な情報を提供したりといったリテンション施策を打てます。
これにより、顧客の離脱を防ぎ、LTVの最大化に繋げられます。
LTVの扱い方については「分析業務でつまづかない方法とLTVの扱い方」で詳しく紹介しています。

理由3:実施したキャンペーンや販促施策の効果を正確に測定するため

特定のキャンペーンが成功したかどうかを判断する際、期間中の売上だけで評価するのは不十分です。
そのキャンペーンで獲得した顧客が、その後もリピート購入を続けているかを測定して、初めて施策の真の効果がわかります。
コホート分析を使えば、「送料無料キャンペーンで獲得した顧客は、その後の継続率が高い」といったデータに基づいた効果検証が可能です。

これにより、A/Bテストの結果をより深く分析し、どの施策が長期的な利益に貢献するのかを正確に判断できるようになります。

ECサイトにおけるコホート分析表の基本的な見方

コホート分析の結果は、一般的に表形式で可視化されます。
この表は、縦軸に顧客をグループ分けした「コホート」、横軸に初回購入からの「経過期間」を取り、各セルにはその時点での「継続率」や「リピーター数」などのデータが示されます。
この表を正しく読み解くことで、顧客の定着度や質の変化を直感的に把握できます。

横軸(時間経過)で顧客の定着率の変化を読み解く

コホート分析表の横軸は、時間の経過を示します。
左から右へ「0ヶ月後(初回購入月)」「1ヶ月後」「2ヶ月後」と並び、各セルには初回購入からの経過期間における顧客の継続率(リテンション率)が入ります。
この横軸を追うことで、特定の顧客グループが時間の経過とともにどの程度定着しているか、またどのタイミングで離脱しやすいのかといったデータパターンを読み解くことが可能です。

一般的に、右に行くほど数値は減少する傾向にあります。

縦軸(顧客グループ)で獲得時期ごとの顧客の質を比較する

コホート分析表の縦軸は、顧客をグループ分けした「コホート」を表します。
一般的には「2023年1月」「2023年2月」のように、顧客が初回購入を行った月でグループ分けします。
この縦軸を比較することで、顧客を獲得した時期によって、その後の定着率に違いがあるかを分析できます。

例えば、新しいプロモーションを開始した月のコホートの継続率が他の月より高ければ、そのプロモーションが質の高い顧客獲得に繋がったというデータに基づいた仮説を立てられます。

【GA4】Googleアナリティクス4を使ったコホート分析のやり方

Googleアナリティクス4(GA4)には、標準でコホート分析機能が備わっています。
専門的なツールを使わなくても、GA4の「データ探索」機能を利用すれば、クリック操作だけで簡単にコホート分析表を作成できます。

この方法を使えば、Webサイト上のユーザー行動に基づいたリテンション分析が可能です。

ステップ1:GA4の「データ探索」でコホート分析テンプレートを選択する

まず、GA4の左側メニューから「探索」をクリックし、「データ探索」の画面を開きます。
テンプレートギャラリーの中から「コホートデータ探索」を選択してください。
このテンプレートを選ぶだけで、コホート分析の基本的な表が自動的に生成されるため、分析の第一歩として非常に簡単なやり方です。

ここから各項目をカスタマイズしていくのが基本的な方法となります。

ステップ2:「コホートのセグメント」で分析したい顧客グループを定義する

分析表の左側にある「タブの設定」パネルで、「コホートのセグメント」を定義します。
これは、分析の起点となるユーザーグループを決める設定です。
「最初の接点」や「いずれかのイベント」など、どのような行動を取ったユーザーを分析対象にするかを選択します。

ECサイトの分析では、一般的に「初回訪問日」や「初回購入日(purchaseイベント)」を起点にするのが基本的なやり方であり、分析方法として有効です。

ステップ3:「内訳」ディメンションで分析の切り口を設定する

「内訳」ディメンションを設定すると、分析の切り口をさらに細かくできます。
例えば、「最初のセッションの参照元/メディア」や「デバイスカテゴリ」などを設定すると、チャネル別やデバイス別のコホートを比較分析できます。

「広告経由のユーザーは定着率が高いか」「スマートフォンユーザーとPCユーザーで行動に違いはあるか」といった、より具体的な問いに対する答えを見つけるための方法です。

ステップ4:「値」で分析したい指標(リピーター数など)を選択する

「値」セクションでは、分析したい指標を選択します。
指標には「アクティブユーザー数」や「トランザクション数」などがあります。
ECサイトの継続率を分析する場合は、「指標の種類」を「リピーター」に設定し、「指標」として「ユーザー数」を選択するのが一般的なやり方です。

この方法で、各コホートが時間経過とともにどれだけの割合でリピートしているかを可視化できます。

【Excel】Excelを使ったコホート分析のやり方

エクセルを用いたコホート分析は、ECカートから抽出した受注データを直接加工できるため、より実務に即したリピート状況の把握に有効です。ピボットテーブル機能を活用することで、関数を多用せずとも以下の手順で作成できます。

・顧客IDと購入日が紐付いた受注データを準備する
・ピボットテーブルで各顧客の初回購入月を算出する
・元データに初回購入月の列を追加し、経過月数を計算する
・縦軸に初回購入月、横軸に経過月数を配置して集計する

この方法であれば、GA4などのアクセス解析ツールだけでは追いきれない、キャンセルや返品を除外した正確な購買ベースの継続率を可視化できます。数値の強弱をカラースケールで色付けすれば、離脱が目立つ時期を直感的に特定可能です。

ステップ1:必要な購入データを準備する(顧客ID、購入日、購入金額)

まず、分析に必要なデータを準備します。
最低限必要なデータは「顧客ID」「購入日」「購入金額」の3つです。
これらのデータをECカートシステムやデータベースからCSV形式などで抽出し、Excelのシートに貼り付けます。

データが整っていることが正確な分析の前提となるため、日付の形式などを統一しておくのが、この方法のポイントです。

ステップ2:ピボットテーブルで顧客ごとの初回購入月を特定する

次に、各顧客の初回購入月を特定します。
準備したデータ範囲を選択し、「挿入」タブから「ピボットテーブル」を作成します。
「行」に「顧客ID」を、「値」に「購入日」を配置し、値の集計方法を「最小」に設定します。

これにより、各顧客IDの最も古い購入日、つまり初回購入日が算出されます。
この初回購入月のデータが、顧客をグループ分けする(コホートを定義する)ための基準になります。

ステップ3:初回購入月と購入月を組み合わせてリピート状況を集計する

元の購入データに、ステップ2で算出した「初回購入月」の列を追加します。
その後、再度ピボットテーブルを作成します。
「行」に「初回購入月」を、「列」に「購入月」を、「値」に「顧客ID」を配置し、値の集計方法を「重複しない個数」に設定します。

これにより、初回購入月ごとの、その後の各月におけるユニークな購入者数が集計され、継続率を計算するための基礎データが完成します。

ステップ4:継続率を算出してヒートマップで可視化する

ステップ3で作成したピボットテーブルを基に、継続率を算出します。
各月の購入者数を、対応する初回購入月の購入者数(0ヶ月目の数値)で割ることで計算できます。
算出後、表全体を選択し、「ホーム」タブの「条件付き書式」から「カラースケール(ヒートマップ)」を適用します。

数値が高いセルを緑色、低いセルを赤色に設定することで、継続率の高い・低いコホートを直感的に把握できる有効な可視化方法です。

【活用例】ECのコホート分析結果をリピート施策に活かす3つの方法

コホート分析は、分析して終わりではありません。
得られたデータからインサイトを導き出し、具体的なリピート施策(リテンション施策)に繋げてこそ価値があります。
ここでは、分析結果を実際の売上向上に繋げるための具体的な活用方法の例を3つ紹介します。

活用例1:離脱率が高いタイミングを狙ってクーポンやメルマガを配信する

コホート分析表を横軸で見ることで、顧客の継続率が特に大きく下がる「魔の期間」を特定できます。
例えば、「初回購入から3ヶ月後の継続率が50%から20%に急落している」というデータが得られたとします。

この場合、初回購入から2ヶ月半が経過した顧客に対して、リピート購入を促すクーポンをメールで配信したり、おすすめ商品を紹介するメルマガを送信したりする施策が有効です。
この方法により、離脱の可能性が高い顧客を効果的に引き留めるリテンション施策が打てます。

活用例2:優良顧客が多い流入チャネルやキャンペーンを特定し投資を強化する

コホート分析で内訳を設定することで、どのチャネルやキャンペーンから流入した顧客が、長期的に優良顧客になっているか(LTVが高いか)を特定できます。
例えば、「オーガニック検索経由の顧客は、広告経由の顧客よりも半年後の継続率が2倍高い」といった分析結果が出たとします。

この場合、広告費を抑制し、SEO対策やコンテンツマーケティングへの投資を強化するという意思決定が可能です。
これは、費用対効果の高い顧客獲得戦略を立てる上で非常に有効な活用例です。

活用例3:新商品の初回購入者の定着率を測定し、商品やプロモーションの改善に活かす

新商品を発売した際、その商品の購入者を一つのコホートとして設定し、その後の継続率を追跡するのも有効な活用例です。
もし、そのコホートの定着率が他の商品購入者のコホートよりも著しく低い場合、「商品自体に満足してもらえなかった」あるいは「商品の使い方や魅力が十分に伝わっていない」といった仮説が立てられます。

このデータに基づき、商品の改良や、使い方を解説するコンテンツの作成といった具体的な改善アクションに繋げるリテンション方法です。

分析から施策までを高速化するEC Intelligenceの統合分析機能

GA4やExcelでのコホート分析は有効ですが、データの準備や設定に手間がかかったり、分析結果を即座に施策に反映させることが難しい場合があります。
「ECIntelligence」のようなEC特化型オールインワンツールは、これらの課題を解決します。
CDPに蓄積された購買データや行動データを基に、SQLの知識不要で高度な分析が可能。

さらに、分析で特定した顧客セグメントに対して、そのままメールやLINE、Web接客といった施策をシームレスに実行できるのが大きな特長です。
ECサイトの分析に役立つツールについては「ECIntelligenceの機能」で詳しく紹介しています。

EC Intelligenceを活用したECサイトの改善事例

ECIntelligenceは、Web接客やABテストなどの機能を活用して、多くのECサイトでCVR(コンバージョン率)改善や回遊性向上の実績を持っています。
ここでは、具体的な改善事例を3つ紹介します。

事例1:グローバルナビのABテストでクリック経由のCVRが44%改善した食品系ECサイト

食品系ECサイトの事例として、主要カテゴリへの導線をハンバーガーメニューからグローバルナビゲーションとしてヘッダーに常時表示するUI変更が検討されました。これは、ユーザーが目的の商品を見つけやすくすることを目的とした施策です。その結果、グローバルナビをクリックしたユーザーのCVRが、変更前に比べて改善が見られました。このテスト結果から、UI改善が売上向上につながる有効な施策である可能性が示唆されました。

事例2:コンテンツの表示順変更でサイト回遊性が向上しCVRが15%改善したアパレルECサイト

あるアパレルECサイトでは、TOPページが冗長で、おすすめ商品などの重要なコンテンツがユーザーの目に触れにくい構成になっていました。
そこで、ECIntelligenceを用いて、NEWS・TOPICSをページ最下部へ移動させ、おすすめ商品をファーストビューに表示するというコンテンツの順番を入れ替えるABテストを実施しました。
この施策により、サイトの回遊性が向上し、結果としてCVRが約15%改善しました。

事例3:カゴ落ち商品の再表示で対象者のCVRが35%改善したアパレルECサイト

カートに商品を入れたままサイトを離脱したユーザーが再訪問した際に、その存在に気づかせることが難しいという課題がありました。
ECIntelligenceのWeb接客機能を活用し、カートに商品が入っている再訪問者に対して、トップページでカート内の商品をポップアップ表示する施策を実施。

このリマインドにより、売上の増加に貢献しました。

ECサイトのコホート分析に関するよくある質問

ECサイトの運営担当者様から寄せられる、コホート分析の実務的な活用や効率化に関する代表的な質問にお答えします。

Q.コホート分析の結果をどのようにリピート施策へ反映させればよいですか?
A.特定のグループで継続率が急落するタイミングを特定し、その直前にリテンション施策を実行してください。たとえば、初回購入から2ヶ月後に離脱が多い傾向があれば、45日後に限定クーポンを配信するシナリオを設定します。EC Intelligenceなら、SQL不要でこうした条件のセグメントを即座に作成し、メールやLINE配信へ繋げられます。

Q.分析に必要なデータの収集や統合に手間がかかる場合はどうすべきですか?
A.データ統合基盤(CDP)を備えたツールの導入を検討してください。CDPとは、異なるチャネルから収集した顧客データを統合し、一元管理する仕組みのことです。Excelでの手動集計はミスが発生しやすいため、サイト内行動と購買データを自動で紐付け、リアルタイムに分析・実行できる環境を整えることが効率化の近道です。

Q.ツールを導入する際のコストや契約期間の目安を教えてください。
A.機能が統合されたオールインワンツールを選ぶことで、個別契約の重複コストを抑えられます。実際に、サイト内検索やMAなどの単体ツールを統合し、月額コストを約50%削減した事例もあります。当社のEC Intelligenceは、インプレッション課金ではなく月間PV数に応じた料金体系を採用しており、最低契約期間3ヶ月からスモールスタートが可能です。

コホート分析では、どのくらいの期間でデータを見るのが一般的ですか?

分析対象の商材やビジネスモデルによりますが、一般的には月次で3ヶ月から1年程度の期間を見るのがおすすめです。
例えば、化粧品や健康食品のような定期購入やリピート購入が前提の商材であれば、解約率の動向を掴むために最低でも半年から1年のデータを見るのが有効です。

LTVを改善するために、ECのコホート分析で特に注目すべき指標は何ですか?

LTVを改善するためには、特に「継続率(リテンション率)」と、経過月ごとの「顧客単価」に注目すべきです。
継続率の高いコホートを特定することで優良顧客のペルソナが明らかになり、顧客単価の推移を見ることでクロスセルやアップセルの施策効果を測ることが可能です。

コホート分析とRFM分析は、ECサイトでどのように使い分ければ良いですか?

コホート分析は時間軸で顧客グループの「行動変化」を捉えるのに適しているのに対し、RFM分析は「現時点」での優良顧客を抽出する手法です。
コホート分析で顧客育成の課題(例:離脱タイミング)を特定し、RFM分析で特定した優良顧客層に特別なアプローチをするなど、目的別に使い分けるのが効果的な方法です。
顧客分析の手法については「顧客分析の7つの手法や手順」で詳しく紹介しています。

まとめ

ECサイトにおけるコホート分析は、顧客の行動を時間軸で深く理解し、リピート率やLTVを向上させるために不可欠な手法です。
GA4やExcelを使えば誰でも分析を始められますが、分析から施策実行までをシームレスに行うには、ECIntelligenceのような統合ツールの活用が効果的です。
データに基づいた顧客理解と施策実行のサイクルを高速化させることが、ECビジネスを成功に導きます。


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記事を書いた人
株式会社シナブル

ECサイト特化のデータ分析&マーケティングシステム「EC Intelligence」を開発。「テクノロジーで商取引を革新し、ショッピング体験をより良くする」というビジョンの元、ECサイト・オムニチャネルの体験がさらに豊かになる情報を発信します。

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