ECサイトを訪れたユーザーの多くは、商品ページを見るだけで購入に至らず離脱します。この「見ただけで離れた」ユーザーへ、閲覧した商品や関連商品を添えて自動でフォローするのが閲覧落ちメールです。カートに商品を入れたユーザーだけを対象とするカゴ落ちメールに比べて配信対象が大きく広がるため、メール経由の売上を底上げする施策として注目されています。
本記事では、閲覧落ちメールの定義、カゴ落ちメールとの違い、見込める効果と事例、成果が出る作り方、そしてメールが届かない顧客へのLINE活用までを、EC事業者の視点で整理します。自社の取りこぼしを減らし、既存の訪問者を売上につなげるための実践的なヒントとしてご活用ください。
閲覧落ちメールとは?(意味・仕組み)
閲覧落ちメールとは、ECサイトで商品ページを閲覧したものの、カートに入れず離脱したユーザーに対し、閲覧商品や関連商品を添えて自動配信するフォローメールです。「ブラウザ放棄メール」とも呼ばれ、カゴ落ちメールより配信対象が広いのが特徴です。
ECサイトに訪れたユーザーのうち、実際に商品をカートへ入れる人はごく一部にとどまります。多くは商品ページを見るだけで、比較検討の途中だったり、ほかの予定に移ったりして、そのままサイトを離れていきます。こうしたユーザーは購入の意思が完全になくなったわけではなく、「もう少し背中を押されれば戻ってくる」見込み客であることが少なくありません。
閲覧落ちメールは、この「見ただけで離れた」ユーザーの行動を起点に、興味が冷めないタイミングで自動的に配信します。一斉送信のメールマガジンと違い、一人ひとりが直前に見ていた商品を起点にした提案ができるため、受け取った側にとって関連性が高く、自然に再訪へつながりやすいのが特徴です。
閲覧落ちメールとカゴ落ちメールの違い
どちらもユーザーの行動を起点に配信するフォローメールですが、対象とするユーザーの段階が異なります。カゴ落ちメールはカートインまで進んだ、購入直前のユーザーが対象です。購買意欲が高いぶん反応率も高くなりやすい一方、そもそもカートに入れる人の数は限られます。
閲覧落ちメールは、その手前にいる「商品を見たがカートには入れなかった」ユーザーが対象です。一件あたりのクリック率やコンバージョン率はカゴ落ちメールに及ばないことが多いものの、対象となる母数が圧倒的に多いため、合計の売上貢献では大きな成果につながります。両者は競合するものではなく、購買プロセスの異なる段階を補完し合う関係にあります。
つまり、カゴ落ちメールで「あと一歩」のユーザーを取り戻しつつ、閲覧落ちメールで「検討段階」のユーザーを広く拾う。この二段構えを組み合わせることで、サイト訪問者の取りこぼしを大きく減らせます。
なぜ今、閲覧落ちメールに取り組むべきなのか?
多くのEC事業者にとって、サイトを訪れたユーザーの大半は何も購入せずに離脱します。その大部分は不満を表明することもなく静かに去っていくため、「なぜ買わなかったのか」が見えないまま機会損失だけが積み上がっていきます。閲覧落ちメールは、この見えない離脱層に対してもう一度アプローチできる数少ない手段です。
また、リターゲティング広告のように配信のたびに費用が発生する施策と比べ、保有している会員データと閲覧履歴を使う閲覧落ちメールは、追加の広告費をかけずに既存訪問者へ再アプローチできます。自社で取得した行動データ(ファーストパーティデータ)を活かせるため、外部環境の変化にも左右されにくく、安定して成果を積み上げやすい点も見逃せません。
閲覧落ちメールの効果と成功事例
一般的なメールマガジンの開封率は15%前後とされることが多く(媒体や業種により変動します)、ユーザーの直近の興味に直結する閲覧落ちメールは、これを上回る反応を得られるケースがあります。ここでは、実際に閲覧落ちフォローを取り入れて成果を上げた事例を紹介します。
※以下の事例で示す数値は、EC Intelligence(ECI)導入企業における実績(自社調べ)です。成果は商材・運用条件により異なり、効果を保証するものではありません。
アウトドア用品EC:レコメンド配信でCVRが通常の約2倍に
取り扱う商品点数が非常に多い一方で、顧客一人ひとりに合わせた提案ができておらず、商品を見ただけで離脱する会員が多いことが課題でした。そこで、閲覧したものの購入せずに離脱した会員に対し、閲覧商品や関連するギアを組み合わせたフォローメールを自動送信するシナリオを構築。直近の興味に直結したパーソナライズ提案を行った結果、開封率40%以上・クリック率(開封者のうちクリックした割合:CTOR)35%以上という高い反応を獲得し、CVRは通常のフォローメールと比較して約2倍に向上しました(同社・同期間比/自社調べ)。フォローできるユーザー層の拡大と売上増加に大きく貢献しています。
ワイン販売EC:閲覧履歴に応じたフォローで平均購入単価が約1.16倍に
品揃えは豊富でしたが、全員に同じ内容の一斉メールマガジンしか送れておらず、顧客の興味や好みに応じた提案の仕組みがありませんでした。カゴ落ちメールや購入後フォローメールに加え、閲覧後に離脱したユーザーへ閲覧履歴に応じた関連商品を提案するパーソナライズメールを配信。一人ひとりの興味に合わせた提案によりクリック率が増加し、合わせ買いも誘発された結果、平均購入単価が約1.16倍となりました(導入前後比/自社調べ)。
ファッションEC:アクション起点の自動化でメール経由売上が約27%増
従来のメルマガ配信に加え、カゴ落ちメールや閲覧ベースのメールなど、ユーザーの行動を起点としたトリガーメールを実装しました。興味が高まっているタイミングでタイムリーに自動配信することで、全体のCVRが約1.25倍に改善し、メール経由の売上は約27%増加するという成果につながりました(導入前後比/自社調べ)。
ファッション系小売業:行動履歴連動のフォローで開封率はカゴ落ちメールの約1.4倍
店舗とECサイトの両方でファッショングッズを扱うある企業では、取り扱い商品が非常に多く、顧客が自分好みの商品を見つけづらいという課題を抱えていました。サイト内検索・レコメンドの導入に加え、レコメンドパターンのABテストや、サイト上での行動履歴に応じたフォローメールを実施。商品を見たまま離脱したユーザーを後押しする施策を重ねた結果、通常の一斉配信メールに加えてメール経由の訪問・売上が増加しました。なかでも行動を起点としたフォローメールの開封率は、カゴ落ちメールの約1.4倍を記録しています(同社実績/自社調べ)。閲覧段階のユーザーであっても、興味に連動した内容であれば高い反応が得られることを示す事例です。
閲覧落ちメールの作り方と配信タイミング
興味が冷めないうちに配信する
閲覧落ちメールは、ユーザーの興味が高まっているタイミングを逃さないことが重要です。離脱から時間が経つほど商品への関心は薄れていくため、当日から翌日など、記憶が新しいうちに最初のフォローを届けるのが効果的です。検討に時間のかかる高単価商材では、数日後に追加情報を添えて再度フォローする設計も有効です。
件名は売り込みすぎない
派手で売り込み色の強い件名は、広告と見なされて開かれにくくなります。「先ほどご覧いただいた商品です」のように、閲覧した事実にそっと触れる自然な件名のほうが開封されやすい傾向があります。スマートフォンのプレビューで内容が伝わるよう、要点を前半に置き、長くなりすぎないことも意識します。
閲覧商品+関連レコメンドで提案に厚みを持たせる
メールには、ユーザーが実際に見ていた商品を中心に据えつつ、関連商品やコーディネート、組み合わせて使えるアイテムをレコメンドとして添えると、提案に厚みが出ます。閲覧商品そのものは購入を見送ったユーザーでも、関連提案がきっかけで別の商品に興味を持ち、合わせ買いや単価向上につながることがあります。
1通で終わらせず、シナリオで設計する
閲覧落ちメールは単発で終わらせるより、ユーザーの反応に応じて複数通を組み合わせるシナリオ設計のほうが成果を伸ばしやすくなります。たとえば1通目で閲覧商品を提案し、反応がなければ2通目で関連商品やレビューを添えるといった流れです。開封やクリックの有無で次の打ち手を変えることで、しつこさを抑えながら再訪を後押しできます。
配信頻度と対象をコントロールする
配信対象が広い施策だからこそ、頻度の出しすぎには注意が必要です。同じユーザーへ短期間に何通も送ると、配信解除や「迷惑」という印象を招きかねません。配信間隔の上限を設けたり、すでに購入したユーザーを自動的に対象から外したりと、ユーザー体験を損なわない設計を前提に運用することが、中長期の成果を支えます。
メールを開かない顧客へのLINEフォロー
閲覧落ちメールは強力な施策ですが、そもそもメールを購読していない顧客や、メールをほとんど開かない顧客には届きません。こうした層を取りこぼさないために有効なのが、LINEを使った閲覧落ちフォローです。
メールと同じように「閲覧した商品+レコメンド商品」をLINEで自動送信することで、メールでは接点を持ちにくかった顧客にも再アプローチできます。日常的に開かれやすいLINEは到達性・開封性が高く、メールと役割を分担させることで、フォローできるユーザーの裾野をさらに広げられます。メールが届く顧客にはメールで、届かない顧客にはLINEで、とチャネルを使い分ける発想が取りこぼしを減らす鍵になります。
閲覧落ちメールを成果につなげるために
ここまで見てきたように、閲覧落ちメールは「誰が・何を・いつ見たか」という行動データと、それに即したレコメンド、そして適切なタイミングの自動配信がそろってはじめて成果につながります。逆に、行動ログ・顧客データ・配信ツールが別々に分断されていると、データの突合や設定に手間がかかり、運用が続かなくなりがちです。
EC Intelligence(ECI)は、サイト内検索・レコメンド・Web接客・MA(メール/LINE配信)をひとつの基盤に統合した、EC特化型のプラットフォームです。サイト上の閲覧・購買といった行動データをリアルタイムに捉え、閲覧落ちやカゴ落ちといったシナリオを、セグメントに紐づけて自動配信として組み立てられます。閲覧商品に連動したレコメンドを差し込んだメールや、メールを開かない顧客へのLINEフォローまで、同じ基盤の中で一貫して運用できる点が特長です。
ECIでは閲覧落ちメールをどう実行する?
ECIで閲覧落ちメールを実行できるのは、「行動データの収集」「対象者の抽出」「レコメンドの自動生成」「シナリオによる自動配信」までを一つのシステム内で完結できるためです。具体的には、次の4つのステップで動きます。
- 行動データの自動収集と紐づけ:サイトに設置したトラッキングタグにより、「どの会員が・いつ・どの商品を閲覧したか」「カートに入れたか」「購入したか」といった行動履歴が、自動的にECIのデータベースへ収集・蓄積されます。
- 「閲覧落ち」セグメントの柔軟な設定:管理画面上で行動履歴データをもとに配信対象を設定します。「昨日、特定の商品を閲覧したが、カートには入れていない(購入していない)」といった複雑な条件も、直感的な操作で対象者として抽出できます。
- レコメンドエンジンによる商品情報の自動差し込み:メールのエディターに「レコメンド」パーツを配置するだけで、システムが一人ひとりの閲覧履歴を分析し、「閲覧した商品そのもの」や「その商品とよく一緒に見られている・買われている関連商品」を自動でピックアップ。商品画像・価格・リンクを含めて本文に動的に差し込みます。
- シナリオ機能による最適なタイミングでの自動配信:「閲覧から◯日後の◯時に配信する」といったフローを設定すれば、以降はシステムが日々「閲覧落ち」ユーザーを検知し、一人ひとりに最適なレコメンドを盛り込んだパーソナライズメールを自動で配信し続けます。
一般的なツール環境では、メール配信システムとレコメンドエンジンが別々になっていることが多く、大量のデータを連携させたり、配信前に「誰にどの商品をすすめるか」を計算するデータ加工を挟んだりする必要があり、実現のハードルが高くなりがちです。ECIはCDP(顧客データ)・MA(メール配信)・レコメンドエンジンがすべて一つのエンジン・統合データベース上で動くため、事前の複雑なデータ準備やシステム間連携なしに、顧客の直近の閲覧行動に合わせてリアルタイムかつシームレスに閲覧落ちメールを実行できます。
実際にECIを活用したアウトドア用品ECではCVRが通常の約2倍に、ワイン販売ECでは平均購入単価が約1.16倍に向上するなど(いずれも自社調べ)、閲覧落ちフォローを起点とした成果が生まれています。サイト訪問者の取りこぼしを減らし、既存の流入を着実に売上へ変えていきたいとお考えの場合は、データと配信を一つの基盤で扱える仕組みづくりから検討してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
Q. 閲覧落ちメールとカゴ落ちメールは、どちらを優先すべきですか?
A. 両方を組み合わせるのが基本です。購買意欲の高いカゴ落ちユーザーは反応率が高く、まず優先的に取り組む価値があります。そのうえで、対象数が大きい閲覧落ちメールを併用すると、検討段階のユーザーまで広くカバーでき、売上全体の底上げにつながります。
Q. 閲覧落ちメールはいつ配信するのが効果的ですか?
A. ユーザーの興味が冷めないうちが基本で、離脱の当日から翌日にかけての配信が目安です。検討期間が長い高単価商材では、数日後に追加情報を添えて再フォローする設計も有効です。商材の検討サイクルに合わせて調整しましょう。
Q. 配信対象が多いと、迷惑メールだと思われませんか?
A. 頻度と対象の設計次第です。短期間に何度も送ると配信解除を招くため、配信間隔の上限を設け、購入済みユーザーは自動で対象から外すなどの制御が重要です。閲覧商品に即した関連性の高い内容であれば、ユーザーにとって有益な情報として受け取られやすくなります。
Q. メールを開封しない顧客にも、閲覧落ちフォローはできますか?
A. 可能です。メールを購読していない、あるいは開封しない顧客には、LINEで「閲覧した商品+レコメンド商品」を自動送信する方法があります。チャネルを使い分けることで、メールだけでは届かなかった層にも再アプローチできます。
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