コラム

【食品EC×MA活用】食品ECはリピートが命 送料・地域・年代で差がつく MA施策とLTV改善

【食品EC×MA活用】食品ECはリピートが命 送料・地域・年代で差がつく MA施策とLTV改善
目次


食品ECのリピートを左右する最大の不満は、全年代に共通して「送料が高い」——約5割が「送料無料になること」を重視します(シナブル独自調査/食品EC利用者1,065名・2024年12月)。一方で“売れる食品”は地域で、送料に次ぐ不満は年代で分かれます。本記事は、この自社調査データをもとに、送料・地域・年代の3軸で食品ECのリピートを伸ばすMA(マーケティングオートメーション:メール配信など顧客への働きかけを自動化する仕組み)施策を整理します。

食品ECは、日用品や嗜好品の買い物と違い、「毎日の食事のために繰り返し買う」前提で使われます。だからこそ、一度きりの購入よりも、いかに気持ちよく買い続けてもらえるかが売上を左右します。新規顧客の獲得コストが上がり続けるなか、一度購入してくれた顧客に繰り返し買ってもらう重要性は年々高まっています。以下、調査データが示す利用者の実像から、具体的な打ち手を順に見ていきます。

食品ECはなぜ「リピート」で決まるのか?

約7割が「普段の食事用」として購入しており、繰り返し買う前提の利用が中心です。単発の販売より“買い続けてもらう設計”が売上に直結します。

食品をECで購入する目的を尋ねたところ、約7割が「普段の食事用」と回答しました。「自分へのごほうび」は27.5%、「特別な食品のお取り寄せ」は25.9%で、日常使いが土台になっています。日常的に消費される食品は、なくなれば再び買う必要があり、リピートが自然に発生しやすい商材です。

裏を返せば、一度購入してくれた顧客に「次もここで買おう」と思ってもらえるかが成否を分けます。獲得コストが上がり続けるなか、既存顧客のリピートとLTV(顧客生涯価値:一人の顧客が取引期間を通じてもたらす利益の総額)をいかに高めるかが、より重要なテーマになっています。

日常使い以外の需要は、どう取り込むのか?

「自分へのごほうび」27.5%、「特別な食品のお取り寄せ」25.9%と、日常使い以外の需要も一定あります。単価が高くなりやすく、リピートの入り口として活かせます。

購入目的の中心は普段の食事用ですが、「ごほうび」や「お取り寄せ」もそれぞれ4分の1以上を占めます。こうした需要は日常の買い物より単価が高くなりやすく、季節やイベントに合わせて動くのが特徴です。

一度きりで終わらせず、次の日常使いや別シーンの購入へつなげられるかが、LTVを伸ばす分かれ目です。お取り寄せで初めて利用した顧客に、後日その地域の別商品や定番商品を案内するなど、初回購入を起点にした働きかけが有効です。ハレの日の需要を、リピートの入り口として設計する視点が求められます。

食品ECで最も大きい不満は何か?

全年代に共通する不満の第1位は「送料が高い」でした。約5割が送料無料を重視しており、送料設計はカート離脱とリピートの双方に直結します。

ECサイトへの不満を尋ねると、すべての年代で「送料が高い」が第1位でした。購入時に重視することも「価格」「送料」「ポイントが付くか」が上位に並び、約5割が「送料が無料になること」を重視すると回答しています。

食品は単価が比較的低く、繰り返し買うものだけに、そのたびに発生する送料は割高に感じられやすい費用です。実店舗ならかからないコストとして意識されるため、送料の見せ方や送料無料ラインの設計は、カート離脱とリピートの両方を左右します。まとめ買いや定期購入で送料の負担感をやわらげる工夫が有効です。

地域によって「売れる食品」はどう違うのか?

米・雑穀は全国的に強い一方、四国・東北では菓子が1位、西日本では酒、都市部では水が上位に入るなど、地域ごとに購買傾向がはっきり分かれます。

地域別によく購入される食品を見ると、米・雑穀は8地域中6地域で上位3位以内に入り、特に関東では37.01%と高い購入率でした。惣菜・レトルト食品はすべての地域で上位に入り、中国地方では27.69%で1位となるなど、時短ニーズの高まりがうかがえます。一方、四国と東北では菓子が1位、近畿・中国・四国では酒が3位、関東や中国では水が上位に入るなど、地域特性も鮮明です。


地域の傾向

上位に入りやすい食品

背景として考えられること

全国的

米・雑穀、惣菜・レトルト

主食としての定番、時短ニーズ

四国・東北

菓子

特徴的な消費傾向

近畿・中国・四国

西日本でのオンライン酒類購入

関東・中国(都市部)

重量物をECで買う利便性


※ 地域別データは、全国配送・多カテゴリのショップで特に活用しやすい傾向があります。配送エリアや取扱品目が限られる場合は、自店の販売地域・品目に置き換えて読むと、実際の打ち手に落とし込みやすくなります。

年代によって不満は変わるのか?

送料への不満は全年代共通ですが、次点は分かれます。20代は返品・交換手続き、30代は商品の実際の大きさや量、40〜60代は価格の高さに不満を感じています。

全年代共通の「送料が高い」に続く2番目の不満は、年代によって内容が異なりました。デジタルに慣れた20代はよりスムーズな手続きを期待し、家族形成期の30代は生活ニーズに合う量やサイズを重視、食費負担が大きくなる40代以降は価格への感度が高まります。年代ごとに“刺さる訴求”が違うため、一律の案内では響きにくく、セグメントを分けたアプローチが効いてきます。


年代

送料に次ぐ不満

響きやすい訴求の方向性

20代

返品・交換手続きが面倒

手続きの簡単さ・スピード

30代

商品の大きさや量

内容量・使い切りやすさの明示

40〜60代

価格が高い

まとめ買い・定期のお得感


食品ECのリピートを伸ばすMA施策は?

「購入サイクルに合わせた再購入促進」「送料無料ラインの訴求」「地域・年代セグメント配信」の3つが柱です。行動データを起点に自動で回すのが現実的です。

調査で見えた「リピート前提」「送料への不満」「地域・年代のばらつき」は、いずれも会員データを活用したMAで応えられます。全員へ同じ内容を送るのではなく、一人ひとりの購入履歴や地域に合わせて出し分けることが、食品ECでは特に効果を発揮します。

① 購入サイクルに合わせた再購入のお知らせ

米や飲料のように消費ペースが読める商品は、購入した数量・容量から「そろそろなくなる頃」を見計らって再購入を案内できます。買い忘れを防ぎ、他店に流れる前に自社での再購入を促すことで、リピート率とLTVを底上げできます。

目安:再購入タイミングは「購入容量 ÷ 想定消費ペース」で初回を暫定設定し、実際の購入間隔データで補正すると精度が上がります。たとえば2人世帯が5kgの米を購入した場合、1〜1.5か月で消費と見込み、45日前後でリマインドする、といった設計です。

② 送料無料ラインとまとめ買いの訴求

最大の不満である送料には、「あと〇〇円で送料無料」という後押しや、定期購入・まとめ買いでの実質負担の軽減が有効です。関連商品のレコメンドと組み合わせれば、送料の壁を越えながら客単価も高められます。

目安:送料無料ラインは平均客単価の1.2〜1.5倍あたりを起点に設定すると、送料負担感をやわらげつつ客単価を無理なく引き上げやすくなります。設定後は到達率と粗利をみながら調整します。

③ 地域・年代に応じたセグメント配信

地域ごとに売れる食品が違うなら、その地域で人気の高い商品を訴求するほうが響きます。年代別に不満が異なる点も、返品のしやすさ、内容量の明示、まとめ買いのお得感といったメッセージの出し分けで応えられます。天候や季節で需要が動く食品では、こうした条件を組み合わせた配信が来店頻度の底上げにつながります。

効果はどう測る?(KPIの例)

配信して終わりにせず、リピート率/F2転換率(初回購入者が2回目購入に至る割合)/送料無料ライン到達率/シナリオ経由の売上比率などで効果を測ると、改善サイクルを回しやすくなります。購入回数や購入間隔から顧客の状態を捉え、離脱の兆しが見えた顧客には早めにクーポンや再購入案内を届けることで、離れる前に引き止められます。VOC(顧客の声)やレビューと組み合わせれば、不満の芽を早期に見つけて改善につなげられます。

食品ECのリピート運用を、無理なく回すには?

購入履歴・行動ログ・配信を同じ基盤で扱えると、再購入の見極めからセグメント配信までを自動化でき、送料・地域・年代の違いにも一つの運用で対応できます。

ここまでの施策は、購入履歴の蓄積、消費サイクルの推定、地域・年代でのセグメント抽出、各チャネルへの配信がつながって初めて機能します。これらが分断していると、都度データを加工する手間が生じ、「なくなる頃に知らせる」といったタイミングが命の施策ほど回しづらくなります。

シナブルが提供する「EC Intelligence(ECI)」は、レコメンド・MA・CDP(カスタマーデータプラットフォーム:顧客データを統合・一元管理する基盤)を一つに統合した、EC・通販特化のプラットフォームです。購入した商品の容量や個数、購入頻度をふまえた再購入促進を自動で継続でき、地域×年代×購入商品を組み合わせた複雑なセグメントも、事前のデータ加工なしに管理画面から抽出して配信できます。

導入120社以上、継続率97.6%(2023年1月に開始したアカウントの同年12月時点の継続率)という実績があり、リピートが命の食品ECと相性のよい仕組みです。たとえばアパレルECのA/Bテストでは、メール経由の売上が27%増加した事例もあります。手作業や外部依頼に頼らず、現場主導でリピート施策を回していきたい食品EC事業者にとって、こうした統合基盤は有力な選択肢になります。

※ 掲載の実績値は公開時点のものです。事例は他業種(アパレル)での測定結果であり、成果を保証するものではありません。

まとめ

食品ECは「普段の食事用」という日常利用が中心で、リピートとLTVをいかに高めるかが成否を分けます。最大の不満は全年代共通の「送料が高い」で、約5割が送料無料を重視する一方、売れる食品は地域で分かれ、送料に次ぐ不満は年代で変わります。だからこそ、購入サイクルに合わせた再購入促進、送料無料ラインの訴求、地域・年代に応じたセグメント配信という出し分けが効いてきます。これらを継続的に回すには、購入履歴・行動・配信を同じ基盤で扱える環境が支えになります。

なお、インターネットショッピングの利用率は利用者ベースで73.4%に達しており(出典:総務省「令和3年版情報通信白書」)、食品ECはもはや特別な買い物ではありません。日常的に消費される食品だからこそ、リピートを軸にした設計が、これからの食品ECの成長を大きく左右します。

よくある質問(FAQ)

Q. 食品ECのリピート施策は、まず何から始めるべきですか?

A. 消費ペースが読みやすい定番商品の再購入促進から始めるのが効果的です。購入した数量や容量をもとに「そろそろなくなる頃」に案内するだけでも、買い忘れによる他店流出を防ぎ、リピート率の改善を実感しやすくなります。

Q. 送料への不満には、値下げ以外にどう対応できますか?

A. 送料無料ラインの提示や、定期購入・まとめ買いでの実質負担の軽減が有効です。「あと〇〇円で送料無料」という案内を関連商品のレコメンドと組み合わせると、送料の壁を越えてもらいつつ客単価も高められます。目安として、送料無料ラインは平均客単価の1.2〜1.5倍あたりから調整するとよいでしょう。

Q. 地域ごとに配信内容を変えるのは手間がかかりませんか?

A. 地域や購入履歴を条件にセグメントを自動で抽出できる環境があれば、手作業を増やさずに出し分けられます。まずは売れ筋の差がはっきりしている商品カテゴリーから、地域別の訴求を試すとよいでしょう。

Q. 年代別の訴求は、どこまで細かく分けるべきですか?

A. 最初から細かく分ける必要はありません。送料は全年代共通の関心事として押さえたうえで、「手続きの簡単さ(若年層)」「内容量の明示(子育て層)」「まとめ買いのお得感(中高年層)」といった主要な軸から出し分けると、無理なく運用できます。

【調査概要】

調査名:食品EC利用実態調査(シナブル独自調査)/対象:食品EC利用者 1,065名/実施時期:2024年12月



機能に関するご質問やご相談は、以下よりお気軽にお問い合わせください。
記事を書いた人
株式会社シナブル

ECサイト特化のデータ分析&マーケティングシステム「EC Intelligence」を開発。「テクノロジーで商取引を革新し、ショッピング体験をより良くする」というビジョンの元、ECサイト・オムニチャネルの体験がさらに豊かになる情報を発信します。

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