シナブル社員に聞いた、分析業務でつまづかない方法とLTVの扱い方

シナブル社員に聞いた、分析業務でつまづかない方法とLTVの扱い方
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今回はシナブルで外部インターン生として働いている村井が弊社社員の酒井にデータ分析やLTVについてインタビューを行いました。



村井:本日はよろしくお願いいたします。まず初めに酒井さんの経歴を簡単にご紹介頂いてもよろしいでしょうか。

酒井:前職ではECの事業者側でECサイトの運営業務を行っていました。具体的にはECサイトの管理や、受発注の対応のみならずカスタマーサポート、物流の部分も合わせて行っていました。さらにその前をさかのぼるとゲーム会社や中古車比較サイトの運営会社に勤めていた時期もありました。




村井:なるほど。では、現在シナブルではどのような業務を行っていらっしゃいますか。

酒井:EC Intelligenceをお使いいただいているお客様に対して操作方法のサポート業務や一歩踏みこんで、お客様のビジネスを加速させることができるようなコンサルティング業務を行っています。




村井:ありがとうございます。まず最初の質問ですが、データ分析をする際に注目すべき指標や数値などはありますでしょうか。

酒井:実は注目すべき数値や指標は、行う施策や設定した仮説によって異なります。そもそもデータ分析には2種類の目的があると私は考えています。1つめは「証明」、2つめは「発見」です。




村井:「証明」と「発見」ですか。まず、「証明」とはどういったことを指すのでしょうか。

酒井:1つめの「証明」は「設定した仮説や現象の裏付けとして、データが必要な場合に分析をする」という意味です。例えば、受注データ処理をしていると「この年代からの注文が多い」「夏にはこの商品が売れる」といった仮説や気づきが必然的に生まれてきます。そういった仮説や気づきを、本当かどうか確かめる際にデータ分析することを「証明」といいます。




村井:なるほど。続いて「発見」についても教えてください。

酒井:一方「発見」は「何もない状態からデータを分析することによって何かを発見する、解決策を見出す」という意味です。しかし、発見のために行う分析については何種類ものデータがないと成果を出すことはなかなか難しいです。定量データだけでなく定性データも必要になりますし、そもそもコストが非常にかかります。そのためデータから何かを発見する作業は、時間もコストもかかるという認識を持っておく必要があります。






村井:なるほど。コストが非常にかかるということは、発見のための分析を満足いくまで行うことができる企業は少なそうですね…。次の質問ですが、一見するとデータ分析は「万能でなんでも解決してくれる」イメージがあるのですが、酒井さんはデータ分析に関してどのようにお考えでしょうか?

酒井:私は数字やデータ分析はそこまで万能だと思っていません。数字やデータは嘘はつきませんが、目の前の事実以上のことは教えてくれないといったイメージです。これは私の前職での経験なのですが、ある日何もしていないのに商品の売り上げがとても上がった日がありました。その原因をたどっていくとX(旧Twitter)からの流入が多いことに気がつきました。Xを見ると、私の全く知らない人の「この商品本当にいいんだよ」という投稿が万バズしており、そこからの流入によって多くの購入が発生していました。しかし数字から「バズって売り上げが上がった」という事実はわかっても「なぜバズったのか」という原因まではわかりませんでした。実際、その投稿は私たちが日頃からお客さまに言い続けてきたセールスポイントと同じ内容でした。しかし、なぜかたくさんのいいねとリポスト、引用リポストによって多くの人に拡散されました。その理由を解明するには、定性的な調査が必要でした。以上の経験から、数字だけ調べても現象の再現性が取れない、ということに気がつき「数字やデータは思っているほど万能ではない」という考えに至りました。




村井:では、どのようにして数字やデータ分析と向き合っていけばよいのでしょうか。

酒井:個人的には「仮説をたて施策を行い、本当にそれが正しいのかどうかを確かめるためにデータ分析をする」という一連の流れを繰り返していくほうが建設的であると考えています。




村井:なるほど、そうすると「見るべき指標や数値」というのは各々がたてた仮説や施策によって変わってくる、ということですね。

酒井:そのようなイメージで問題ありません。




村井:ありがとうございます。次の質問ですが、初心者の方が陥りがちなデータ分析のミスなどはありますでしょうか。

酒井:「数字の表面的なところだけしか見ない」ということは往々にしてあると思います。例えば広告を例にとると、広告を見て流入してきた何割かの人が商品を購入したとします。そうすると多くの広告運用のご担当者様は、購入した人の割合しか見ずに購入しなかったけど次回は購入してもらえるかもしれない顧客のポテンシャルを無視する方が多いです。要は、短期的な結果ばかりにフォーカスしてしまい、長期的な視点でデータを見れないというミスを犯してしまいがちです。








村井:なるほど、ありがとうございます。では、次の質問ですが、適切な仮説の立て方や効果検証の方法などはありますでしょうか。

酒井:「とりあえずこれやってみよう」的な効果検証として、ページビューやランディング数に対する直帰率を見て、機能していないページを見つけるというものがあります。

例えば、ページビュー(ランディング数)が7000あるにも関わらず直帰率が85%もあるページがあったとします。数値だけ見ると一見人気のあるページに見えますが、100人ランディングしたら85人が離脱しているページであるため、その他のページに流入を促せていないという問題があることがわかります。このように全く機能していないページを見つけ、メンテナンスしていくことはデータ分析の基本として習慣付けたほうがいいと考えています。




村井:ありがとうございます。次に、データ分析において覚えておいたほうがよい計算式などはありますでしょうか。特にLTVに関して気になる方も多いと思うので、LTVを中心にお話していただけると助かります。

酒井:まずLTVの計算式ですが


LTV=平均顧客単価×購買頻度×継続期間×収益率


で表すことができます。顧客一人あたりの利益に対し、新規顧客を獲得する単価が妥当かどうかを見て、次の投資判断の材料として利用する、というのがLTV本来の使い方です。要は、顧客1人が商品を購入した際に生まれた利益をベースに、どこまで顧客獲得単価を抑えることができるのか、どこまで投資していいのかを考えるための指標がLTVだと私は考えています。




村井:なるほど。しかし、LTVの計算式において継続期間を正確に求めるのは難しいと思います。その点についてはどうお考えでしょうか。

酒井:おっしゃる通りで、LTVや継続期間はもともと保険などの無形商材に対して使われていた概念でした。そのため、継続的な購入がない商品やECサイトに対してLTVの概念を持ち込むのはとても難しいと思います。




村井:では、ECサイトを運営する方はLTV以外にどういった指標を参考にすればよいのでしょうか?

酒井:客単価や購入回数を参考にしたり、分析であればRFM分析で十分だと思いま

す。



村井:なるほど。では客単価を上げていくことでLTVも上がっていくというようなイメージなのでしょうか。

酒井:もちろんそうなのですが、LTVを上げていくためにはLTVのボトルネックを解決していくのが重要であると考えています。LTVのボトルネックを解決するためにMAST(マスト)と呼ばれるフレームワークがあります。それぞれ商品の購入前〜購入後の「Meet(出会う)」「Attractive(引き付ける)」「Sence(検知する)」「Trade(商売する)」の4つのフェーズから構成されています。要は、LTVを上げようとした際、この4つのフェーズのどの部分がボトルネックとなっているのかを考えることが重要になります。







村井:MASTのフレームワークについては初めて耳にしました。より詳しく教えていただけますか?

酒井:各フェーズにおけるボトルネックの例ですが、以下のようなものが挙げられます。




 つまり、LTVの数値をみるというよりも上記のMASTのフェーズにおいて、商品をリピートしない原因、企業のファンになってくれない原因を探すことのほうが重要だと考えます。




村井:ありがとうございます。LTVに関してコホート分析が有用である、というWeb記事があったのですが、その点についてはどうお考えですか。

酒井:まず、コホート分析というのは、ユーザーをグループごとに分けその動向を追っていく分析手法のことです。しかし、私は分析の手法にとらわれてしまうのはおすすめしません。どのような分析であっても「どうやらここにボトルネックがあるかもしれない」ぐらいのことまでしかわからないからです。そのため、ある程度分析をしてボトルネックがわかってきたら、先に述べたMASTのフレームワークにしたがって解決していくことが一番良いと思います。




村井:なるほど。今回のインタビューを通して「分析をしたから全て上手くいく」という認識を改めようと思いました。

酒井:そうですね。数字はあくまで現状を把握するためのものであって「分析や数字は万能だ」という考えを持っているとつまずいてしまうと思います。




村井:ありがとうございます。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

機能に関するご質問やご相談は、以下よりお気軽にお問い合わせください。
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