ECサイトを運営していると、商品一覧や検索結果一覧の表示方法で「ページネーション」と「無限スクロール」のどちらを採用すべきか悩むことがあります。
この記事を読めば、自社サイトの目的と照らし合わせて最適な表示形式を判断し、変更したあとに何を見ればいいかまで分かる状態になります。
この問題は、方式の優劣では決まりません。判断の軸は「次を見る手段が、気づかれているかどうか」です。
ページネーションと無限スクロールは何が違う?

コンテンツを「区切って見せる」か「切れ目なく続ける」かの違いです。
ページネーションと無限スクロールは、Webサイト上で大量のコンテンツを分割して表示するための代表的な手法です。
ページネーションはコンテンツを複数のページに分割し、ユーザーがページ番号をクリックして移動する方式を指します。
一方、無限スクロールはユーザーがページを下にスクロールする動作を検知し、次のコンテンツを自動的に読み込んで表示し続ける方式です。
この2つに加えて、両者の特徴を併せ持つ「もっと見るボタン」方式も存在します。
ページネーションはどういう方式?
コンテンツを複数の固定ページに区切って表示する形式です。
ユーザーは「1,2,3...」といったページ番号や「次へ」ボタンをクリックして、次のコンテンツページへ移動します。
このページング方式は、ECサイトの検索結果や商品一覧など、ユーザーが特定の商品や情報を探している場合に適しています。
全体の商品数や自身の現在地を把握しやすいため、目的のアイテムを見つけたり、後から特定のページに戻ったりする際に便利です。
無限スクロールはどういう方式?
ページ最下部までスクロールすると、次のコンテンツが自動的に読み込まれて表示され続ける形式です。
ユーザーはクリック操作を必要とせず、途切れることなくコンテンツを閲覧できるため、滞在時間の延長や偶発的な商品との出会いを促す効果が期待できます。
明確な目的を持たずに商品を眺めたいユーザーにとって、快適なブラウジング体験を提供します。
「もっと見るボタン」はどう位置づけられる?
ページネーションと無限スクロールの長所を組み合わせたハイブリッドな形式です。
初期表示では一定数のコンテンツのみを提示し、ユーザーがページ下部の「もっと見る」や「さらに読み込む」といったボタンをクリックすることで、次のコンテンツが同じページ内に読み込まれます。
無限スクロールのようにページ遷移のストレスをなくしつつ、ユーザー自身の意思で読み込みを制御できるため、フッターにたどり着けないといった問題を回避できます。
読み込み方式は、どの観点の課題として考えるべき?

「デザインの好み」ではなく「商品を見つけられるかどうか」の課題として考えます。
EC Intelligenceを提供する株式会社シナブルでは、ECサイトのCVRの伸びしろを6つの観点で整理しています。発見性・マッチング、訴求・価値伝達、価格・コスト透明性、手続き・操作負荷、信頼性・技術基盤、集客・トラフィック品質の6つです。これは、導入実績120サイト以上の支援のなかで整理したものです。
商品一覧の読み込み方式は、このうち「発見性・マッチング」に属します。つまり、ユーザーが欲しい商品にたどり着けているかという観点の課題です。
この観点から見ると、問いの立て方が変わります。 「どちらが優れているか」ではなく、「次の商品を見るための手段が、ユーザーに気づかれているか」が論点になります。
支援の現場で挙がるのは「もっと見るボタンやページ送りに気づかない」という声です。方式そのものではなく、その方式が機能していないことが問題になっています。
一覧の続きは、気づかれている?

2ページ目以降がほとんど見られていないサイトでは、気づかれていない可能性があります。
確認する手順は2つです。
ステップ1は、ページネーションや「もっと見る」ボタンのクリック率を見ることです。一覧ページの表示回数に対して、次ページへの操作がどれだけ発生しているかを確認します。
ステップ2は、検索結果一覧でも同じ数値を見ることです。カテゴリ一覧では操作されていても、検索結果一覧では操作されていない、という差が出ることがあります。
クリック率が低い場合、原因は2つに分かれます。1つは「そこに続きがあることに気づかれていない」場合で、ボタンやページ番号の表示サイズ・配置を変えることで改善します。
もう1つは「気づいているが押す気にならない」場合で、このときは自動読み込みへの変更が選択肢になります。
どちらなのかは、ページのどこまでスクロールされているかを見ると切り分けられます。最下部まで到達しているのに操作されていなければ、前者の可能性が高い状態です。
自社サイトはどの方式を選ぶべき?

ユーザーが「探しに来ている」のか「眺めに来ている」のかで決まります。
目的志向の強いサイトか、回遊志向の強いサイトかを見極めることで、3つの形式から適切なものを選択できます。
目的の商品を効率的に探してほしいなら?
ページネーションが適しています。
ユーザーが特定の商品を探しに来るECサイトでは、全体のコンテンツ量や現在地をユーザーが正確に把握できることが、効率的な探索を支援します。
例えば、「3ページ目のあの商品と比較したい」といった場合に、簡単に目的の場所へ戻ることが可能です。
ユーザーがコントロール感を持ちながら商品を探せる環境を提供したい場合に適しています。
多くの商品を回遊してほしいなら?
無限スクロールが効果的です。
ユーザーにできるだけ多くの商品に触れてもらい、滞在時間を延ばしたい場合に向いています。
スクロールするだけで次々と新しい商品に触れることができ、没入感のある体験を提供できます。
明確なゴールを持たず、偶発的な出会いや発見を楽しんでもらいたいサイトの設計思想と合致しています。
スマートフォンでの操作性を重視するなら?
「もっと見るボタン」が有力な選択肢となります。
モバイル端末ではクリックよりもスクロールが主要な操作ですが、無限スクロールには「フッターにたどり着けない」「通信環境によっては読み込みが遅くなる」といったデメリットも存在します。
「もっと見るボタン」は、ユーザーの能動的なアクションによってコンテンツを追加読み込みさせるため、これらの問題を回避しつつ、スクロール中心の快適な操作性を維持できます。
それぞれのメリット・デメリットは?

比較する軸は3つです。全体量の把握しやすさ、操作の手間、そして前の状態への戻りやすさです。
ページネーションのメリットは?
ユーザーが情報の全体像と現在地を把握しやすい点です。
総ページ数が表示されることでコンテンツのボリュームを直感的に理解でき、特定のページ番号をクリックすればいつでも目的の場所に戻れます。
この「制御性」は、複数の商品をじっくり比較検討したいECサイトのユーザーにとって特に重要です。
また、各ページが固有のURLを持つため、ブックマークや共有が容易である点も利点です。
ページネーションのデメリットは?
ページを移動するたびにクリック操作と読み込み待機が発生することです。
特にモバイルユーザーにとっては、小さなページ番号をタップする操作がストレスに感じられる場合があります。
この操作の手間が積み重なると、ユーザーは商品を見続ける意欲を失い、サイトから離脱してしまう可能性があります。
2ページ目以降の閲覧率が極端に低い場合は、このデメリットが顕在化しているサインかもしれません。
無限スクロールのメリットは?
ユーザーがスクロールするだけでシームレスに商品を見続けられる点です。
クリック操作が不要なため、特にモバイル端末でのブラウジング体験が向上します。
次から次へと商品が表示されることで、ユーザーは当初探していなかった商品にも自然と触れる機会が増えます。
これにより、サイト内での回遊性が高まり、ユーザーの滞在時間延長につながる効果が期待できます。
無限スクロールのデメリットは?
フッターにたどり着けないことと、閲覧位置が分からなくなることです。
コンテンツが自動で追加され続けるため、サイトマップや企業情報などが記載されたフッターに到達できない問題が起きます。
また、一度離れた閲覧位置に正確に戻ることが難しく、膨大な商品の中で自分の現在地を見失いがちになります。
さらに、大量のデータを読み込むことでブラウザの動作が重くなる可能性もあり、ユーザーにストレスを与えることがあります。
導入する場合は、閲覧位置を保持する仕組みや、フッターの情報をヘッダー側にも用意するといった対応をあわせて検討します。
どちらを選ぶかは、何をもとに判断する?

サイトを訪れるユーザーの実際の行動データをもとに判断します。
ページネーションと無限スクロールのどちらを選ぶべきか、あるいは「もっと見るボタン」にすべきかという問いに唯一の正解はありません。
アクセス解析ツールやヒートマップ、A/Bテストなどを活用し、仮説ではなく事実に基づいてUIを改善していくアプローチが、コンバージョン率の向上につながります。
2ページ目以降の閲覧率はどう確認する?
GoogleAnalyticsなどのアクセス解析ツールで、2ページ目以降のページビュー数を確認します。
もし、1ページ目の閲覧数に比べて2ページ目以降が極端に少ない場合、ユーザーがページ遷移を面倒に感じて離脱している可能性があります。
このような兆候が見られるなら、無限スクロールや「もっと見るボタン」への変更を検討する価値があります。
逆に、多くのユーザーが複数ページを閲覧しているなら、現状のUIが支持されていると判断できます。
どこまでスクロールされているかはどう見る?
ヒートマップツールで、ユーザーがページのどこまでスクロールし、どこで離脱しているかを可視化します。
ページネーションを採用しているサイトで、ユーザーが1ページ目の最下部に到達する前に離脱している割合が高い場合、一覧に並んでいる商品自体が興味を引けていない可能性があります。
逆に最下部まで到達しているのに次ページへ進まれていないなら、ページ送りの表示が気づかれていない可能性が高くなります。
なお、一覧に並ぶ商品が多すぎること自体が負担になる場合もあります。 ECサイトのサイト内検索に対する不満として、「結果が多すぎて探せない」を挙げた人は36.9%で最多でした(シナブル調べ, n=1,030, 2025年12月)。検索結果一覧では、読み込み方式を変える前に、表示件数や並び順を見直す選択肢もあります。
A/Bテストではどう比較する?
ユーザーをランダムに2つのグループに分け、それぞれ異なる方式を表示して比較します。
例えば、一方には従来のページネーションを、もう一方には「もっと見るボタン」を実装したページを表示し、どちらのグループのコンバージョン率(CVR)や回遊率が高いかを比較します。
EC Intelligenceでは、DOM要素の変更によってページ内の表示を調整でき、全接客コンテンツのA/Bテストと効果の自動計測に対応しています。 エンジニアの手を借りずにノーコードで実装し、どちらが成果につながったかをそのまま確認できます。
読み込み方式についてよくある疑問は?
ページネーションと無限スクロールの選択に関して、EC運営の担当者から頻繁に寄せられる質問をまとめました。
方式を変えたら、何を見れば効果が分かりますか?
一覧ページから商品ページへの遷移率と、1人あたりの閲覧商品数の2つを見ます。
読み込み方式の目的は「次の商品を見てもらうこと」なので、この2つが変化していなければ、方式を変えた意味がありません。
あわせて、変更後にページネーションやもっと見るボタンのクリック率がどう動いたかも確認します。
モバイルサイトの場合、どちらが推奨されますか?
スクロールの快適さとユーザーによる制御を両立できる「もっと見るボタン」が、多くの場合で推奨される選択肢となります。
モバイル端末ではスクロール操作が主体となるため、無限スクロールは一見すると親和性が高いように思えます。
しかし、大量のコンテンツを読み込むことによるパフォーマンスの低下や、現在地を見失いやすいという欠点も存在します。
一方で、従来のページング方式は目的のページへ直接移動できる利便性がありますが、小さな画面でページ番号をタップする操作はユーザーにとってストレスとなる可能性があります。
ECサイトの商品一覧ページでは、どの形式を選ぶべきでしょうか?
サイトのコンセプトや扱う商材によって最適な形式は異なります。
スペックなどを比較しながらじっくり商品を選びたいユーザーが多いサイトでは、全体量を把握しやすく、目的の場所に戻りやすいページネーションが有効です。
一方で、ウィンドウショッピングのように偶発的な出会いを楽しみながら回遊してほしいサイトでは、無限スクロールや「もっと見るボタン」が適しています。
自サイトが提供したい購買体験を軸に、最適な形式を選択することが重要です。
この記事の要点は?
ページネーション、無限スクロール、「もっと見るボタン」には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。最適な選択は、サイトの目的やユーザーの行動特性によって変わります。
ただし、この課題の本質は方式の優劣ではありません。商品一覧の読み込み方式は「発見性・マッチング」の課題であり、見るべきなのは「次の商品を見る手段が、気づかれているかどうか」です。
ページネーションやもっと見るボタンのクリック率を確認し、気づかれていないなら表示を変える、気づいていても押されないなら方式を変える。この順番で切り分けられます。
最終的な判断は、アクセス解析やA/Bテストといった実際のデータに基づいて行うことが、ユーザー体験とビジネス成果の両方を最大化する鍵となります。
EC IntelligenceではUIの検証をどう進める?
データの統合から施策の実行、効果検証までを1つの基盤の上で行えます。
EC Intelligenceは、CDPを中心に、サイト内検索、WEB接客、MAなどの機能を統合したオールインワンツールです。
サイト訪問者の行動データを一元管理し、分断されることなく分析から施策実行、効果検証までのサイクルを高速で回すことができます。
なぜデータが分断されないと検証が早くなる?
「検索したユーザーのその後の行動」まで一貫して追えるようになるからです。
一般的な環境では、サイト内検索ツール、WEB接客ツール、MAツールがそれぞれ独立しており、データがバラバラに管理されています。
EC Intelligenceは、これら全ての機能を単一のデータ基盤上で提供するため、一貫性のある仮説検証と施策実行が可能になります。
なぜエンジニアなしでA/Bテストができる?
WEB接客機能に、ノーコードのA/Bテスト機能が標準で搭載されているためです。
テストパターンの実装をエンジニアに依頼すると、時間や工数がかかり、施策のスピードが落ちてしまいます。
EC Intelligenceでは、担当者自身が管理画面の操作だけで、ボタンの表示や配置の異なるパターンを作成し、どちらがより高いCVRを生むかを迅速に検証できます。
自社サイトの商品一覧は今どの状態?
一覧の続きが見られているかどうかは、ページネーションやもっと見るボタンのクリック率を見れば確認できます。ただし、自社だけで見ていると、どこから手を付けるべきかの判断が難しい場合もあります。
EC Intelligenceを提供する株式会社シナブルでは、ECサイトのCVRの伸びしろを無料で診断しています。商品一覧を含む発見性・マッチングの観点から、現在地を確認できます。
ECサイト特化のデータ分析&マーケティングシステム「EC Intelligence」を開発。「テクノロジーで商取引を革新し、ショッピング体験をより良くする」というビジョンの元、ECサイト・オムニチャネルの体験がさらに豊かになる情報を発信します。