
手元にある購買データを活用して「ついで買い」を促し、売上を伸ばしたいと考えているものの、具体的な分析のやり方が分からず悩んでいませんか。
バスケット分析は、顧客の購買行動に隠されたパターンを見つけ出すための強力な手法です。
この記事では、バスケット分析の基礎知識から、Excelを使った具体的なやり方、そして分析結果を売上向上に繋げるマーケティング事例までを分かりやすく解説します。
バスケット分析とは?ECサイトや店舗の売上を伸ばす基本の仕組み

バスケット分析とは、顧客が一度の買い物(バスケット)で、どのような商品の組み合わせを購入しているかを分析するデータマイニング手法の一つです。
この分析により、「商品Aを買う人は、商品Bも一緒に買う傾向がある」といった 商品の併売ルールを発見し、ECサイトのレコメンドや店舗の棚割りに活かすことで、客単価の向上を目的とします。
顧客の購買データに基づき、隠れたニーズを掘り起こすための重要な意味を持つ分析手法です。
バスケット分析の目的は「ついで買い」の法則性を見つけること
バスケット分析の主な目的は、顧客の購買データから「ついで買い」や「併売」される商品の組み合わせ、すなわち法則性を見つけ出すことにあります。
例えば、スーパーでレジ横にガムや電池が置かれているのは、他の商品を購入した顧客が会計直前についでに手に取ることを狙った戦略です。
このように、データに基づいて顧客が意識的・無意識的に行っている購買行動のパターンを明らかにすることで、より効果的な販売戦略を立て、クロスセルを促進して売上を最大化します。
有名な「おむつとビール」の事例から学ぶ分析の原点
バスケット分析の具体例として最も有名なのが「おむつとビール」の事例です。
あるスーパーマーケットの購買データを分析したところ、金曜の夜におむつとビールが一緒に購入されることが多いという意外な法則性が発見されました。
これは、週末に備えて紙おむつを買いに来た父親が、自分のためにビールも一緒に購入していくという消費行動が背景にあると推測されました。
この事例は、一見無関係に見える商品同士の間に隠された顧客ニーズを発見することの重要性を示すものとして語り継がれています。
【支持度】どのくらい一緒に買われているかの全体的な割合
支持度(Support)とは、全ての購買トランザクション(会計)の中で、特定の商品Aと商品Bが同時に購入された割合を示す指標です。
計算式は「(AとBを同時に含む取引数)÷(全取引数)」で表されます。
この指標の値が高いほど、その商品の組み合わせが全体的によく購入されていることを意味し、多くの顧客に当てはまる一般的な購買パターンであると判断できます。
支持度は、施策を打つべき組み合わせかどうかを判断する最初のフィルターとして機能します。
【信頼度】商品Aを購入した顧客が商品Bも購入する条件付きの確率
信頼度とは、商品Aを購入した顧客が、同じ買い物で商品Bも購入した確率を示す指標です。
計算式は「(AとBを同時に含む取引数)÷(Aを含む取引数)」となります。
例えば、パンを購入した顧客のうち、何割が牛乳も購入したかを示します。
この指標は、商品Aの購入が商品Bの購入にどれだけ影響を与えるかという、 組み合わせの強さを測るために用いられ、レコメンド機能やセット販売の企画において重要な判断材料となります。
【初心者向け】Excelでバスケット分析を実践する3ステップ

バスケット分析は、専門的な分析ツールがなくても、多くの人が使い慣れているExcelで実践することが可能です。
POSデータやECサイトの購買履歴さえあれば、基本的な分析は行えます。
ここでは、初心者でもすぐに取り組めるように、データを整形し、ピボットテーブルで集計し、各指標を計算するという3つの具体的なステップに分けて、その方法を解説します。
STEP1:購買データを「0」と「1」の形式に変換して表を作成する
最初のステップは、購買データを分析しやすい形式に整えることです。
まず、1回の会計(トランザクション)を1行とし、各商品を列に設定した表を作成します。
次に、各会計でその商品が購入されていれば「1」、購入されていなければ「0」を入力します。
例えば、「会計番号001」で「パン」と「牛乳」が購入された場合、パンと牛乳の列に「1」を、他の商品の列には「0」を記入します。
この0と1のデータ形式に変換することで、後の集計作業が格段にやりやすくなります。
STEP2:ピボットテーブルで商品の組み合わせパターンを集計する
次に、Excelのピボットテーブル機能を活用して、どの商品とどの商品が一緒に購入された回数を集計します。
STEP1で作成した表をデータソースとしてピボットテーブルを作成し、行と列に分析したい商品を配置します。
例えば、行に「パン」、列に「牛乳」を設定し、値のフィールドにはいずれかの商品の合計を表示させます。
これにより、パンと牛乳が同時に購入された(両方の値が「1」だった)取引の総数を簡単に集計することが可能です。
STEP3:各指標(支持度・信頼度・リフト値)を計算し評価する
最後に、STEP2で集計した数値を用いて、支持度、信頼度、リフト値といった各指標を計算します。
全取引数、各商品が購入された取引数、そして商品の組み合わせが購入された取引数を基に、それぞれの計算式をExcelのセルに入力して値を算出します。
例えば、リフト値が1を大きく超える組み合わせや、信頼度が高い組み合わせなど、注目すべきパターンを見つけ出します。
この評価に基づき、棚割りの変更やキャンペーン企画などの具体的な施策を検討します。
Excelでの分析は手軽ですが、いくつかの限界点も存在します。
限界点1:膨大なデータ量に対応できず分析に時間がかかりすぎる
一つ目の限界は、処理能力の問題です。
数万件程度のトランザクションであればExcelでも対応可能ですが、数十万、数百万件規模の購買データになると、ファイルの動作が極端に遅くなったり、フリーズしたりすることが頻繁に起こります。
特に、扱う商品数が多い場合、 計算の組み合わせが爆発的に増加し、分析を実行するだけで数時間から数日を要することも少なくありません。
これにより、迅速なデータ分析と意思決定が困難になります。
限界点2:分析結果をリアルタイムの施策に反映させることが難しい
二つ目の限界は、分析と施策実行の間にタイムラグが生じる点です。
Excelでの分析は基本的に手動で行うため、データの抽出、整形、集計、計算という一連のプロセスに時間がかかります。
分析結果が出た頃には、すでに顧客の関心や市場の状況が変化している可能性があります。
特に、ECサイトのレコメンド機能のように、顧客の行動に応じてリアルタイムで商品を提案するような施策には、手動でのバッチ処理が基本となるExcel分析では対応が追いつきません。
こうした分析から得られた知見は、具体的なマーケティング施策に活かしてこそ意味があります。
店舗の棚割りやレイアウト設計を最適化する
スーパーマーケットやドラッグストアなどの実店舗では、バスケット分析の結果が棚割りや店内レイアウトの最適化に直接活用されます。
例えば、分析によって「パスタ」と「パスタソース」、「ひき肉」が一緒に購入される傾向が分かった場合、これらの商品を近くの棚に陳列します。
これにより、顧客が必要な商品を一度に探しやすくなる利便性向上と、関連商品を思い出させて 「ついで買い」を促すクロスセルの効果が期待でき、客単価アップというマーケティング成果に繋がります。
ECサイトのレコメンド機能(おすすめ商品)の精度を向上させる
ECサイトにおけるバスケット分析の最も一般的な活用事例は、レコメンド機能の精度向上です。
「この商品を買った人はこんな商品も購入しています」といった表示は、まさにバスケット分析のロジックに基づいています。
例えば、特定のカメラを購入した顧客のデータから、特定のメモリーカードやレンズフィルターが同時に購入されやすいことが分かれば、それらをレコメンドとして表示します。
これにより、 顧客一人ひとりのニーズに合った商品を提案し、買い合わせ(バスケットサイズ)を促進するマーケティング施策が自動で実行できます。
セット販売やクロスセルを促すキャンペーンを企画する
バスケット分析の結果は、効果的な販売促進キャンペーンを企画するための強力な根拠となります。
例えば、ワインとチーズの併売が多いことがデータで裏付けられれば、「ワインとチーズのセット割引キャンペーン」を企画できます。
また、特定のマスカラを購入する顧客は、特定のアイライナーも購入する傾向がある、というデータがあれば、マスカラ購入者にアイライナーの割引クーポンを発行するといったクロスセル施策も考えられます。
データに基づいた事例を参考にすることで、勘に頼らない効果的なマーケティングが可能です。
ただし、分析結果を施策に活かす際には、いくつかの注意点があります。
分析を成功させるために知っておきたい3つの注意点

バスケット分析は強力な手法ですが、得られたデータをそのまま鵜呑みにすると、誤った意思決定に繋がる可能性があります。
データが示すのはあくまで「相関関係」であり、その背景にある「因果関係」や顧客の文脈を理解することが不可欠です。
分析を成功に導くためには、データに騙されず、本質的な示唆を見つけ出すための視点が求められます。
注意点1:「牛乳とパン」のような誰もが知る組み合わせに惑わされない
分析を行うと、パンと牛乳、シャンプーとリンスのように、誰もが知っている自明の組み合わせが高い数値を示すことがよくあります。
これらの結果は分析が間違っていないことを示しますが、新たなマーケティング施策に繋がる「発見」とは言えません。
重要なのは、こうした当たり前の結果にリソースを割くのではなく、 「おむつとビール」のような、これまで気づかなかった意外な組み合わせや、直感に反するデータに注目することです。
注意点2:売れ筋ランキング上位の人気商品だけで分析しない
売れ筋の商品は、それ自体が多くの顧客に購入されるため、他の様々な商品との組み合わせで支持度や信頼度が高く算出されがちです。
しかし、本当に注目すべきは、単体ではそれほど売れていなくても、特定の商品と一緒に購入されることで輝きを放つ「隠れた併売商品」です。
分析の際は、全体の売上ランキングだけでなく、あえてニッチなカテゴリや特定の商品群に絞って分析を行うことで、新たな発見に繋がる可能性があります。
注意点3:分析結果を鵜呑みにせず仮説検証を繰り返す
データ分析の結果は、あくまで過去の事実を示すものであり、未来の成功を保証するものではありません。
また、データは「なぜ」その組み合わせが生まれたのかという理由までは教えてくれません。
例えば「AとBが一緒に買われている」という結果が出たら、「それは〇〇という顧客ニーズがあるからではないか」という仮説を立て、実際にテスト販売や小規模なキャンペーンを実施して効果を検証するサイクルが重要です。
分析と仮説検証を繰り返すことで、施策の精度は高まっていきます。
ここでは、バスケット分析に関するよくある質問にお答えします。
バスケット分析における「支持度」と「信頼度」はどのように使い分けるのですか?
支持度は組み合わせの全体的な人気度を、信頼度は「Aを買った人」という特定条件下でのBの購入確率を測る指標です。
施策の影響範囲(どれだけの顧客に響くか)を考える際は支持度を、組み合わせの関連性の強さを評価してレコメンドの精度を高めたい場合は信頼度を重視するなど、目的に応じて使い分けます。
バスケット分析を始めるには、どのようなデータが必要ですか?
最低限必要なのは、1回の会計ごとにどの商品が購入されたかを示すトランザクションデータです。
具体的には、誰が(顧客ID)、いつ、何を(商品ID)、いくつ購入したかが記録された購買履歴データが必要です。
POSシステムやECサイトのデータベースからこれらの情報を抽出することで、分析を開始できます。
バスケット分析の結果、リフト値が低い組み合わせは施策に活かせないのでしょうか?
リフト値が低くても、支持度や信頼度が高く、ビジネス上の意義が大きい組み合わせは施策に活かせます。
例えば必需品同士はリフト値が低くなりがちですが、セット買いを促す価値はあります。
指標は総合的に判断し、施策の目的と照らし合わせてどの組み合わせを活用するかを決定することが重要です。
まとめ
バスケット分析は、顧客の購買データから「どの商品が一緒に買われているか」という隠れた法則性を見つけ出し、売上向上に繋げるための有効なデータ分析手法です。
支持度、信頼度、リフト値といった主要な指標を正しく理解し、Excelなどの身近なツールでも分析を始めることができます。
ただし、分析結果を鵜呑みにせず、自明な組み合わせや人気商品だけの分析に偏らないよう注意し、仮説検証を繰り返すことが成功の鍵となります。
店舗の棚割り最適化やECサイトのレコメンド精度向上など、具体的な施策に繋げることで、データに基づいたマーケティングを実現できます。
ECサイトでEC Intelligenceが選ばれる3つの理由
『EC Intelligence』が選ばれる理由は、MA、サイト内検索、WEB接客、レコメンドを単一の顧客データ基盤で完全に統合している点にあります。この統合により、複数のツールを契約・連携させる手間やコストを解消し、顧客の行動に即した一貫性のある施策を即座に実行できる環境を提供します。
選ばれる具体的な3つの理由は以下の通りです。
理由1:MA・検索・レコメンドが単一のデータ基盤で完全に連動するから
多くの企業では、MA、サイト内検索、レコメンドといったツールが別々のシステムで動いており、顧客データが分断されています。
これでは、例えば「サイト内で特定商品を検索したが購入しなかった顧客」に対して、その検索履歴に基づいたレコメンドメールを自動で送るといった一貫性のあるアプローチが困難です。
『ECIntelligence』のような統合型ツールは、これらの機能がすべて同じ顧客データベースを参照して動くため、 ツール間のデータ連携が不要で、顧客の行動に即した一貫した施策をタイムリーに実行できます。
理由2:SQL不要でマーケティング担当者が直接データを分析し施策を高速化できるから
従来の分析では、複雑な条件での顧客リスト抽出にSQLなどの専門知識が必要で、エンジニアへの依頼からリスト入手までに数日かかることも珍しくありませんでした。
これでは施策のタイミングを逃してしまいます。
ECIntelligenceのようなツールでは、 マーケティング担当者自身が画面操作だけで「特定の商品を3回以上購入し、かつ直近1ヶ月サイト訪問がない」といった複雑な条件の顧客を瞬時に抽出できます。
これにより、施策のPDCAサイクルが高速化し、売上向上に直結します。
理由3:EC・物販ビジネスに特化した機能と手厚いサポート体制が整っているから
バスケット分析を成功させるには、ツールの機能だけでなく、EC・物販ビジネスの特性を理解したサポートが不可欠です。
『ECIntelligence』は、創業事業がサイト内検索エンジンであるなど、ECの売上向上に特化した機能開発の知見が豊富です。
また、単にツールを提供するだけでなく、 EC実務に精通した担当者が導入から施策の実行までを伴走支援する体制が整っており、ツール導入が目的化せず、「成果を出す」というゴールまで確実に導きます。
ECサイト特化のデータ分析&マーケティングシステム「EC Intelligence」を開発。「テクノロジーで商取引を革新し、ショッピング体験をより良くする」というビジョンの元、ECサイト・オムニチャネルの体験がさらに豊かになる情報を発信します。