〜スマホECユーザー1,003人に聞いた「ストレス」の実態と、CVRを落とさない改善のヒント〜
スマートフォンでのネットショッピングは、いまや多くの人にとって日常の一部です。今回の調査でも、月1回以上スマホで買い物をする人は約7割にのぼりました。利用が日常化しているからこそ、買い物体験を妨げる要素のインパクトも大きくなります。その代表が、画面を覆うように現れる「ポップアップ」です。
「閉じるボタンが小さくて押せない」「決済しようとした瞬間に別の案内が出てきた」といったような体験は、単にユーザーをイラッとさせるだけでなく、ECサイトの売上そのものを静かに削っている可能性があります。株式会社シナブルは、主にスマートフォンでネットショッピングをする20〜50代の男女1,003人を対象に、「ポップアップのストレス」に関する調査を実施しました。(調査期間:2026年5月)
本コラムでは、ユーザーのホンネと、EC運営者が今日から取り組める改善のポイントを、具体的な基準値とあわせて解説します。
出典:株式会社シナブル「スマートフォンでのネットショッピングにおけるポップアップのストレス」に関する調査

図:普段スマートフォンでネットショッピングする頻度(n=1,003)
【3行サマリー】調査でわかったこと
スマホECユーザーの約8割(79.8%)が、意図しないポップアップにストレスを感じている。
9割以上(93.2%)が誤タップによる意図しない画面遷移を経験し、約6割(63.5%)は購入手続き中のポップアップで購入を諦めたことがある。
一方で過半数(51.2%)は「自分に合った案内」を歓迎しており、問題は“出すか出さないか”ではなく“どう出すか”にある。
約8割が「意図しないポップアップ」にストレスを感じている
スマホECユーザーの約8割(79.8%)が、ポップアップに日常的にストレスを感じています。
操作にストレスを感じることがどのくらいあるか尋ねたところ、「よくある(37.1%)」「ときどきある(42.7%)」を合わせて約8割(79.8%)にのぼりました。ポップアップによるストレスは“例外”ではなく“日常”になっています。
よく遭遇するポップアップは「クーポン配布やセール情報(48.1%)」が最多、次いで「閲覧履歴に基づいたおすすめ商品(40.4%)」「外部サイトへの広告(37.5%)」。いずれも企業が販促のために発信しているもので、売上を伸ばすつもりの施策が、かえって快適なユーザー体験を妨げている可能性が浮かび上がります。

図:ポップアップにストレスを感じる頻度(n=1,003)/よく遭遇するポップアップの種類(n=800)
不満の正体は「内容」ではなく「操作性」
不満は広告の内容ではなく、「閉じるボタンの押しにくさ(66.5%)」など操作性に集中しています。
不満点を尋ねると、「『閉じる』ボタンが小さく、押しにくい(66.5%)」が最多、「分かりにくい場所にある・見当たらない(57.1%)」「画面全体を覆い、コンテンツが見えなくなる(49.0%)」が上位を占めました。
この押しにくさは実害に直結します。「閉じるボタンを押そうとして誤って別ページに飛んだ経験」は9割以上(93.2%)が「あり」。配慮の足りないUI設計が、誤操作と不満を直接生み出しています。

図:ポップアップで不満に感じる点(n=800)/誤タップで別ページに飛んだ経験(n=800)
ポップアップは「売上」も奪っている?
約6割(63.5%)が、購入手続き中のポップアップで購入そのものを諦めた経験があります。
「購入手続き中にポップアップが出て購入を諦めた経験」は約6割(63.5%)。購入直前という最も大切な場面でのポップアップが、販売機会の損失に直結しています。
ブランド印象にも影を落とします。無関係なキャンペーンが大きく表示された場合、「押し売り感が強く好感度・信頼感が下がる(34.3%)」が最多、「不信感を抱き二度と利用したくない(18.9%)」も約2割。本来リピーターになり得た顧客まで遠ざけるリスクをはらみます。

図:購入手続き中のポップアップで購入を諦めた経験(n=800)/無関係なキャンペーン表示への印象(n=1,003)
それでもユーザーは「ポップアップ自体」を拒否していない
過半数(51.2%)は、自分のニーズに合った案内であれば、むしろ歓迎されています。
最も利用したいネットショップのタイプは、「興味やタイミングに合わせた案内が適切に出る店」が51.2%で過半数。「案内は一切出ないが自分で全て探す店(32.3%)」を大きく上回りました。問題は“出すか出さないか”ではなく、“どう出すか”なのです。

図:最も利用したいと感じるネットショップのタイプ(n=1,003)
今日からできる、ポップアップ改善の具体策
「閉じるボタンの拡大」「全画面表示の回避」「表示頻度の制限」が、ユーザーが求める改善の上位3つです。
改善要望(複数回答)の上位は、「閉じるボタンを大きく・押しやすく(58.7%)」「巨大な表示をやめる(35.2%)」「表示回数を制限(32.7%)」。実装の目安とあわせて整理します。

図:ポップアップのUIで運営者に改善してほしい点(n=1,003)
閉じるボタンは十分な大きさと分かりやすい位置に:タップ領域は最低44×44pt程度を確保し、指の届きやすい位置に配置する。
全画面を覆わない:バナー型やボトムシート型を検討。フルスクリーン表示はモバイル検索評価でもマイナス要因になり得ます。
表示頻度をコントロール:一度閉じたら24時間〜7日間は再表示しないなど frequency cap を設定する。
購入手続き中(カート〜決済完了)は表示を停止:離脱に直結する場面のため明確なルールとして除外する。
その上で効果を高めるのがパーソナライズと出し分けです。閲覧履歴や行動に応じて「その人に役立つ情報」を「適切なタイミング」で届け、A/Bテストで表示率だけでなく離脱率・CVRへの影響まで測定して改善を重ねることで、“邪魔なポップアップ”は“頼れる接客”へ変わります。

参考図:許容できる・購入の参考になるポップアップの条件(n=1,003)
まとめ:「邪魔する表示」から「寄り添う接客」へ
約8割がストレスを感じ、9割以上が誤タップを経験し、約6割が購入を諦めた。これは見過ごせない数字です。一方で半数以上は「自分に合った案内」を前向きに受け入れています。鍵は、ユーザーのサイト閲覧体験を妨げないUIを徹底したうえで、一人ひとりに寄り添った“心地よいWeb接客”へ転換すること。それが顧客満足度を高め、確実なコンバージョンへつなげる近道です。
よくある質問(FAQ)
Q. ポップアップにストレスを感じるユーザーはどのくらいいますか?
A. スマホECユーザーの約8割(79.8%)が、意図しないポップアップにストレスを感じています。
Q. 閉じるボタンの適切な大きさはどのくらいですか?
A. タップ領域として最低44×44pt程度が目安です。不満の最多項目が「閉じるボタンが小さく押しにくい(66.5%)」であり、サイズと配置の改善が最も効果的です。
Q. ポップアップで購入をやめたことがある人はどのくらいいますか?
A. 約6割(63.5%)が、購入手続き中のポップアップで購入を諦めた経験があります。
Q. ポップアップはなくすべきですか?
A. いいえ。過半数(51.2%)は自分に合った案内なら歓迎しています。問題は有無ではなく出し方(操作性・タイミング・頻度)です。
Q. 購入手続き中もポップアップを出してよいですか?
A. 避けるべきです。カート〜決済完了は離脱に直結するため、表示しないルール設計が推奨されます。
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自社サイトのポップアップ改善やWeb接客の設計にお役立てください。
調査概要:調査期間 2026年5月28日〜29日/インターネット調査/20〜50代の男女/1,003人/調査主体 株式会社シナブル
【補足の出典】
タップ領域:Apple Human Interface Guidelines(developer.apple.com/design/tips)
全画面表示と検索評価:Googleの侵入型インタースティシャルに関する方針(2017年導入)。
これらは本調査の結果ではなく、UI/SEOの一般的なガイドラインに基づく補足です。
ECサイト特化のデータ分析&マーケティングシステム「EC Intelligence」を開発。「テクノロジーで商取引を革新し、ショッピング体験をより良くする」というビジョンの元、ECサイト・オムニチャネルの体験がさらに豊かになる情報を発信します。