新規顧客の獲得コストが上がり続ける中、通販サイトの安定した成長にはリピート顧客の育成が欠かせません。
この記事では、通販サイトでリピートが増えない根本的な原因を解明し、顧客のリピートを促す具体的な施策をステップ形式で解説します。
リピート施策とは、単に割引クーポンを配布するだけでなく、顧客との関係性を長期的に築くための体系的な取り組みのことです。
本記事で紹介する成功例も交えながら、明日から実行できるアクションプランを学べます。
なぜ今、通販サイトでリピート顧客の育成が重要視されるのか

通販サイトの競争が激化する中で、新規顧客の獲得コストは既存顧客を維持するコストの5倍かかると言われており、リピート顧客の育成は利益率向上のために避けて通れない課題です。
リピート顧客の獲得には、顧客一人ひとりの行動に合わせたパーソナライズ化が欠かせません。シナブルの調査によると、 約4割の顧客が「一律のセール通知」よりも、自分だけに最適化された「個別通知」からの購入を希望していることが分かっています。シナブル調べ(n=1,010/2025年10月)。
まずは自社の「F2転換率」を確認しましょう。F2転換率とは、初回購入者が2回目の購入に至った割合のことです。この数値を把握し、適切なタイミングでフォローを行うことがLTV最大化の第一歩となります。
新規顧客の獲得コストが高騰し続ける市場背景
近年、Web広告費の上昇や競合サイトの増加により、新規顧客一人を獲得するために必要なコスト(CPA:Cost Per Acquisition)は高騰し続けています。
マーケティングの世界では、 新規顧客獲得コストは既存顧客維持コストの5倍かかるという「1:5の法則」が知られており、新規顧客の獲得だけに依存したビジネスモデルは、利益を圧迫する要因となります。
そのため、一度接点を持った顧客にリピートしてもらい、長期的な関係を築くことで、広告費への依存度を下げ、収益性を高める経営戦略が不可欠です。
事業成長の鍵を握るLTV(顧客生涯価値)の考え方
LTVとは、一人の顧客が取引を開始してから終了するまでの期間にもたらす利益の総額を示す指標です。
リピート購入は、顧客の購入回数や購入単価を直接的に向上させるため、LTVの最大化に直結します。
LTVの高い顧客を多く育成することで、将来の売上予測が立てやすくなり、事業は安定します。
短期的な売上を追うだけでなく、顧客一人ひとりと長期的な関係を築き、LTVを高める視点が事業成長の鍵を握ります。
LTVを最大化するパーソナライズド施策については「ECサイトのLTVを最大化するパーソナライズド施策事例集」で詳しく紹介しています。
まずは現状把握から!リピート率の正しい計算方法と業界平均

リピート施策を検討する前に、まずは自社の現状を正確に把握することが重要です。
ここでは、分析の基礎となるリピート率の正しい計算方法と、指標として混同されがちなリピーター率との違いについて解説します。
業界平均と比較し、自社の立ち位置を確認しましょう。
意外と知らない「リピート率」と「リピーター率」の明確な違い
「リピート率」と「リピーター率」は混同されやすいですが、それぞれ異なる指標です。
リピーター率とは、特定の期間における全購入顧客のうち、リピート購入した顧客の割合を示す指標です。これは、顧客ベースで「どれくらいの人がリピートしているか」を測るために用いられます。
一方、リピート率とは、特定の期間内に初めて購入した顧客のうち、再度購入した顧客の割合を示す指標です。こちらは、「新規顧客が商品を再度購入した割合」または「新規顧客のうち、再度購入した顧客の割合」を測るために用いられます。
自社の状況を正しく測るためのリピート率計算式
リピーター率は、以下の計算式で算出できます。
特定の期間を設定し、その間の数値を当てはめて計算します。
リピーター率(%)= 特定期間のリピート購入者数 ÷ 特定期間の総顧客数 × 100
例えば、ある月の総顧客数が1,000人で、そのうち2回目以降の購入者が300人だった場合、リピーター率は30%となります。
この数値を毎月追うことで、施策の効果測定や事業の健全性を判断する材料とします。
【商材別】リピート率の平均値と目指すべき目標ライン
リピート率の平均値は、取り扱う商材によって大きく異なります。
一般的に、 通販サイト全体では30%〜40%程度が平均とされています。
化粧品や健康食品、ペットフードといった消耗品を扱う単品通販の場合、顧客の購入サイクルが短く、継続利用が前提となるため、目標リピート率は50%以上と比較的高めに設定されることが多くあります。
一方で、家具や家電など購入頻度の低い商材を扱う場合は、リピート率は低くなる傾向です。
自社の商材特性を理解し、適切な目標を設定することが重要です。
食品ECにおけるリピート対策については「食品ECはリピートが命!送料・地域・年代で差が出る要因と対策」で詳しく紹介しています。
商品が良いのになぜ?顧客がリピート購入しない3つの根本原因

「商品の品質には自信があるのに、なぜか2回目の購入に繋がらない」という悩みは、多くの通販サイト運営者が抱えています。
顧客がリピートしない背景には、商品力以外の要因が隠れていることが少なくありません。
ここでは、代表的な3つの根本原因を掘り下げます。
原因1:サイトや商品の存在を日常的に忘れてしまっている
顧客がリピートしない最もシンプルな理由は、あなたのサイトや商品のことを忘れてしまっているケースです。
現代は情報過多の時代であり、顧客は日々多くの広告や情報に接しています。
よほど強いインパクトがない限り、一度購入しただけの店のことを常に記憶しておくのは困難です。
購入後のフォローがなく、顧客との接点が途絶えてしまうと、 再購入の必要性が生じた際に思い出してもらえず、他の競合サイトへと流れてしまいます。
原因2:2回目の購入を後押しする特別な理由が見当たらない
初回購入時の満足度が高くても、それが必ずしも2回目の購入に繋がるとは限りません。
「またここで買いたい」と思わせる、何かしらの特別な理由、つまり「きっかけ」が必要です。
例えば、「自分向けのクーポンが届いた」「ポイントが貯まっていた」「好きなブランドの新商品が入荷した」といった、顧客一人ひとりにとってのメリットがなければ、より安価で便利な他の選択肢へと移ってしまう可能性があります。
EC通知のパーソナライズ化については「EC通知のパーソナライズ化と顧客の購買意欲に関する調査」で詳しく紹介しています。
原因3:初回購入時のサイト利用体験に不満やストレスがあった
商品の品質は良くても、購入に至るまでのプロセス、すなわちサイトの利用体験(UX)に問題があった場合、顧客はリピートをためらいます。
例えば、「欲しい商品が探しにくい」「サイトの表示が遅い」「決済方法が少ない」「入力フォームが面倒」といったストレスは、再訪意欲を大きく削ぎます。
シナブルの調査では、 約6割が「検索体験の悪さで購入を断念した経験がある」と回答しており、快適な購入体験の提供はリピートの必須条件です。
通販のリピート施策を成功に導く4つの実践ステップ

リピート顧客を育成するためには、場当たり的な施策ではなく、顧客を理解し、計画的にアプローチするプロセスが不可欠です。
ここでは、データ活用から効果測定まで、通販のリピート施策を成功に導くための具体的な4つのステップを紹介します。
ステップ1:顧客データを整備し、リピート優良顧客を見える化する
効果的なリピート施策の第一歩は、顧客を深く知ることから始まります。
そのためには、点在する顧客データを一元管理し、分析可能な状態に整備することが不可欠です。
誰が、いつ、何を、何回購入したのかを正確に把握することで、初めて顧客に響くアプローチが見えてきます。
散在する顧客情報を一つにまとめることの重要性
多くの企業では、ECサイトの購入データ、実店舗のPOSデータ、メルマガの配信データ、問い合わせ履歴などが、それぞれ別のシステムで管理されています。
これらのデータが分断された状態では、一人の顧客の全体像を捉えることができません。
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)などを活用してこれらの情報を統合し、顧客IDをキーに一元管理することで、オンラインとオフラインを横断した顧客の行動を可視化できるようになります。
【課題の深掘り】データが分断されたままでは効果的な施策は打てない
データが分断されたままでは、精度の高い顧客セグメントを作成できず、結果として効果的な施策を実行できません。
「最終購入日から半年経過した、特定カテゴリの購入者」といったセグメントを作る際に、手作業でのデータ抽出や突合に膨大な時間がかかってしまいます。
統合データベースを持つツールでは、全機能が同じデータを参照するため、データの加工や連携開発が不要で、施策を思いついた日に動かせます。
ステップ2:顧客の購買意欲が高まるタイミングを捉えるシナリオを設計する
顧客データを整備したら、次はそのデータに基づいて、顧客が「また買いたい」と思う最適なタイミングでアプローチするためのシナリオを設計します。
シナリオとは、顧客の特定のアクションを起点(トリガー)として、あらかじめ設定しておいたメッセージを自動で配信する一連の仕組みのことです。
初回購入から優良顧客化までの基本的な育成シナリオ例
顧客を優良顧客へと育成するためには、購入後のコミュニケーションが重要です。
ステップメールとは、初回購入日を起点に、段階的にメールを配信する手法です。
以下に基本的なシナリオ例を挙げます。
購入当日:サンクスメールと注文内容の確認
商品発送日:発送通知メール
商品到着の数日後:商品の使用感などを問うフォローメール
初回購入から1ヶ月後:関連商品や別のおすすめ商品をレコメンド
消耗品の場合:買い替えを促すリマインドメール
カゴ落ち・閲覧履歴フォローなど鉄板シナリオの作り方
購入に至らなかった顧客をフォローするシナリオも、売上向上に直結する鉄板施策です。
カゴ落ちフォロー:商品をカートに入れたままサイトを離脱した顧客に対し、一定時間後(例:1時間後、24時間後)にカート内の商品をリマインドするメールを自動配信します。
閲覧履歴フォロー:特定の商品ページを閲覧したものの、購入しなかった顧客に対し、後日その商品や関連商品をメールで紹介します。
これらのシナリオは、顧客の購買意欲が高い瞬間を捉えてアプローチするため、非常に効果的です。
ステップ3:チャネルを横断して具体的なリピート施策を実行する
設計したシナリオに基づき、いよいよ具体的な施策を実行に移します。
現代の顧客は、メールやLINE、アプリなど複数のチャネルを使い分けています。
顧客一人ひとりに最適なチャネルでアプローチすることが、施策の効果を最大化する鍵となります。
ここでは、主要なチャネルごとの施策のポイントを解説します。
開封率とクリック率を高めるメール施策のポイント
メール施策で成果を出すには、 一斉配信ではなく、顧客に合わせたパーソナライズが不可欠です。
件名に顧客の名前を入れる、購入履歴に基づいておすすめ商品を変える、保有ポイントやクーポン情報を記載するなど、自分ごと化できる情報を提供することで開封率やクリック率は向上します。
また、配信タイミングを顧客の行動が活発な時間帯に合わせることも重要です。
LINEを活用して顧客との距離を縮めるアプローチ方法
LINEはメールに比べて開封率が非常に高く、よりダイレクトに顧客へメッセージを届けられるチャネルです。
LINE公式アカウントとECサイトの会員IDを連携させることで、メール同様にセグメント配信が可能になります。
新商品の案内やタイムセールなど即時性の高い情報を送ったり、クーポンを配布して来店を促したりと、顧客との日常的な接点を増やすのに有効です。
開封時の満足度を高める同梱物やパッケージの工夫
デジタルな施策だけでなく、商品が届く瞬間の体験もリピート意欲に大きく影響します。
手書きのメッセージカードやサンクスレター、ブランドの世界観を伝える小冊子、次回使えるクーポン券などを商品に同梱することで、開封時の満足度、いわゆる「開封体験(Unboxing Experience)」を高めることができます。
パッケージデザインにこだわることも、ブランドへの愛着を育む上で効果的です。
ステップ4:施策の効果を可視化し、PDCAサイクルで改善を続ける
リピート施策は、実行して終わりではありません。
施策の効果を正しく測定・分析し、継続的に改善していくPDCAサイクルを回すことが、成果を最大化するために不可欠です。
データに基づいた客観的な評価と、スピーディーな改善の繰り返しが成功への近道となります。
施策ごとに必ず確認すべき主要KPIとその分析方法
実施した施策の効果を測定するために、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的に観測する必要があります。
メール施策:開封率、クリック率、コンバージョン率(CVR)、配信停止率
LINE施策:配信数、クリック率、ブロック率
サイト全体:リピート率、F2転換率(初回から2回目への転換率)、LTV
これらの数値を分析し、「どのセグメントにどの施策が響いたのか」「なぜ数値が上下したのか」といった仮説を立て、次のアクションに繋げます。
A/Bテストを活用してリピート施策の効果を最大化するコツ
A/Bテストとは、一部の要素が異なる2つのパターン(AとB)を用意し、どちらがより高い成果を出すかを検証する手法です。
例えば、メールの件名や本文のクリエイティブ、クーポンの割引率などを2パターン用意し、同じ条件の顧客グループに配信して反応を比較します。
勘や経験だけに頼らず、データに基づいて効果的な勝ちパターンを見つけ出すことで、施策全体の成果を着実に高めていくことが可能です。
通販のリピート施策に関するよくある質問
ここでは、通販のリピート施策に関して、事業者から頻繁に寄せられる質問とその回答をまとめました。
施策を始める上での疑問や悩みを解消するための参考にしてください。
通販のリピート施策は、まず何から始めるべきですか?
まずは現状分析と、最も離脱率の高いポイントへの対策から始めるのが効果的です。
多くの通販サイトでは、初回購入後のフォロー不足がリピート率低下の大きな原因です。
そのため、購入直後のサンクスメールや、商品到着タイミングでのフォローメールといった、基本的なコミュニケーションを自動化することから着手するのをおすすめします。
リピート率が低い通販サイトに共通する特徴はありますか?
顧客との接点が購入時のみで、その後のフォローが全くないサイトです。
購入後のコミュニケーションがないと、顧客はサイトやブランドの存在をすぐに忘れてしまいます。
また、会員登録や購入プロセスが複雑でストレスを与えるサイトも、顧客が再訪をためらう原因となり、リピート率が低くなる傾向にあります。
単品通販と総合通販では、リピートを増やすためのアプローチは異なりますか?
はい、異なります。
単品通販は化粧品や健康食品など消耗品が多いため、商品の消費サイクルに合わせたリマインドや、よりお得に継続できる定期購入(サブスクリプション)への引き上げが中心的な施策となります。
一方、総合通販は扱う商品が多岐にわたるため、購入履歴に基づいた関連商品のレコメンド(クロスセル)や、他のカテゴリの商品を紹介して買い合わせを促す施策が重要です。
まとめ
通販サイトの持続的な成長には、新規顧客獲得と並行して、既存顧客をリピーターへと育成する施策が不可欠です。
そのためには、まずリピート率などの指標を用いて自社の現状を正しく把握し、顧客が離脱する根本原因を特定することが重要です。
原因を特定した上で、顧客データを整備し、購入後のフォローやカゴ落ち対策といった顧客の状況に合わせたシナリオを設計します。
そして、メールやLINE、同梱物といった複数のチャネルを横断して施策を実行し、KPIを観測しながらPDCAサイクルを回していくことで、リピート率は着実に向上します。
この記事で紹介したステップや施策例を参考に、自社に合ったリピート顧客育成の仕組みを構築してください。
リピート施策の自動化と効果最大化を実現する「EC Intelligence」
これまで解説してきた多岐にわたるリピート施策を、手作業で実行し、管理するのは非常に困難です。
顧客一人ひとりのタイミングに合わせたアプローチを効率的に行うには、MA(マーケティングオートメーション)システムの活用が欠かせません。
「ECIntelligence」は、通販サイトのリピート施策に必要な機能を一つに統合したシステムです。
データ収集から分析、施策の自動実行、効果測定までをワンストップで実現し、担当者の負担を軽減しながらLTVの最大化を支援します。
「ECIntelligence」については「EC・OMOの統合型MA/CRM」で詳しく紹介しています。
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高機能なシステムを導入しても、使いこなせなければ意味がありません。
「ECIntelligence」では、ツールの提供だけでなく、 ECの実務を深く理解した専門チームが導入から運用、成果創出までを手厚く伴走サポートします。
「何から手をつければいいか分からない」といった担当者の悩みに寄り添い、具体的な施策の提案から設定代行まで、二人三脚でリピート率改善というゴールを目指す体制が、多くの企業から評価されています。
ECサイト特化のデータ分析&マーケティングシステム「EC Intelligence」を開発。「テクノロジーで商取引を革新し、ショッピング体験をより良くする」というビジョンの元、ECサイト・オムニチャネルの体験がさらに豊かになる情報を発信します。