リマーケティング広告の運用を検討する中で、似たような言葉が多くて混乱したり、具体的な始め方がわからなかったりすることはありませんか。
この記事を読めば、リマーケティングとは何かという基本から、よく混同されるリターゲティングとの違い、広告が表示される仕組み、そしてGoogle広告での具体的な設定手順までを網羅的に理解できます。
さらに、広告の効果を最大化するための運用ポイントや、サイト内での接客術についても解説しており、自社のビジネスで成果を出すための判断ができるようになります。
リマーケティングとは?多くの人が混同するリターゲティングとの違いを解説

リマーケティングとリターゲティングは、多くの場面で同じ意味の言葉として使われていますが、厳密には由来となるプラットフォームが異なります。
広告運用を始めるにあたり、まずはこの2つの用語の定義を正確に理解しておくことが重要です。
それぞれの言葉が指す範囲と背景を知ることで、各広告媒体の機能を正しく把握できます。
リマーケティングはGoogle広告における特定の名称
リマーケティングとは、過去に自社のWebサイトを訪問したりアプリを利用したりした特定のユーザーに対し、別のサイトの広告枠を通じて再アプローチするマーケティング手法です。これはGoogle広告における固有の名称であり、他社のプラットフォームでは「リターゲティング」と呼ばれる手法と本質的には同じ仕組みを指します。
この手法は、購入を迷って離脱したユーザーに検討を促すため、ディスプレイ広告などと並んでGoogle広告運用の中心的な役割を担います。特定の興味関心を持つ層を狙い撃ちするため、リスティング広告と同様に、商品購入や会員登録といった成果へ繋がりやすいのが特徴です。
さらに広告効果を高めるためには、再訪したユーザーのサイト内行動を捉える必要があります。たとえば、サイトを離れたユーザーを広告で呼び戻すだけでなく、再訪時にWEB接客機能などを活用し、個別のクーポンを提示するといった、 広告とサイト内接客の連動がコンバージョン率の最大化に直結します。
リターゲティングは追跡型広告の一般的な総称
リターゲティングとは、一度自社サイトを訪問したユーザーを追跡し、別のサイトの広告枠やSNS上で自社の広告を表示させる手法全般を指す総称です。Google広告ではリマーケティングと呼ばれますが、Meta(Facebook・Instagram)などの他媒体でもリターゲティングという名称で同様の仕組みが提供されています。
この手法は、検討期間が長い商材や比較検討を行うユーザーをサイトへ呼び戻すために有効です。リターゲティングの種類には、画像やテキストで視覚的に訴求するディスプレイ広告や、ユーザーが閲覧した特定の商品を自動で表示するダイナミック広告などがあります。
ただし、サイトを離れた後の追客だけでは不十分です。株式会社シナブルの「ECサイトのコミュニケーション」に関する調査(2025年5月実施、n=1,017)によれば、「ECサイトからの通知を見て、つい購入してしまうのはどのような場合か」という質問に対し、 62.1%のユーザーが「クーポンが利用できる」と回答しています。広告で呼び戻したユーザーを確実に成果へ繋げるには、サイト内での接客が重要です。
リマーケティング広告が表示される仕組み【Cookie規制後の動向も解説】

リマーケティング広告は、ユーザーのWebブラウザに保存される「Cookie」という仕組みを利用して、サイトを離れたユーザーを追跡し、広告を表示します。
しかし、近年プライバシー保護の観点からCookieの利用が制限される動きが加速しており、今後の動向を理解しておく必要があります。
この変化は広告の効果に直接影響するため、最新の情報を把握することが重要です。
Cookie(クッキー)を利用してユーザーを追跡する基本的な仕組み
リマーケティング広告は、Webブラウザに保存される「Cookie」という小さなテキストファイルを利用して機能します。
具体的な仕組みは以下の通りです。
1.広告主がWebサイトに「リマーケティングタグ」と呼ばれるコードを設置します。
2.ユーザーがそのサイトを訪れると、タグが作動し、ユーザーのブラウザにCookieが保存され、特定のリストに追加されます。
3.ユーザーがサイトを離れ、他のWebサイト(広告ネットワークに加盟しているサイト)を閲覧します。
4.広告配信プラットフォームがユーザーのCookieを認識し、そのユーザーがリストの条件に合致する場合に広告を表示します。
Cookie規制がリマーケティング広告に与える影響と今後の展望
近年、プライバシー保護意識の高まりから、AppleのSafariブラウザなどが標準でサードパーティCookieをブロックしており、GoogleChromeでも段階的に廃止が進められています。
このCookie規制により、 従来の仕組みに依存したリマーケティングの効果が低下し、ユーザーの追跡精度が落ちることが懸念されています。
今後は、Googleが開発を進める「プライバシーサンドボックス」のような代替技術や、Cookieに依存しない広告手法への対応が広告主に求められることになります。
リマーケティング広告を導入する3つのメリット

リマーケティング広告は、適切に活用することで、新規顧客向けの広告よりも高い費用対効果が期待できる手法です。
自社の商品やサービスに既に関心を持っているユーザーに絞ってアプローチできるため、コンバージョンに繋がりやすいという大きな利点があります。
ここでは、導入によって得られる具体的な3つのメリットを解説します。
メリット1:購入意欲の高い見込み顧客に再アプローチできる
リマーケティングの最大のメリットは、一度自社のWebサイトを訪れた、購入意欲の高い見込み顧客に再度アプローチできる点です。
サイトを訪問したという行動は、その商品やサービスへの関心の表れです。
全く興味のないユーザーに広告を表示するのに比べ、 既に検討段階に入っている可能性が高い層にアプローチするため、効率的にコンバージョンへと導くことができます。
メリット2:CVR(コンバージョン率)が高く費用対効果に優れる
リマーケティング広告は、他の広告手法と比較してCVR(コンバージョン率)が高くなる傾向にあります。
コンバージョン率とは、広告をクリックしたユーザーのうち、商品購入や資料請求などの成果に至った割合のことです。
関心度の高いユーザー層に絞って広告費を投下できるため、 CPA(顧客獲得単価)を抑える効果が期待でき、費用対効果の高い広告運用が実現します。
メリット3:顧客の検討段階に合わせたアプローチが可能になる
ユーザーのサイト内での行動履歴に応じて、アプローチ方法を柔軟に変えられる点も大きなメリットです。
例えば、「商品をカートに入れたが購入しなかったユーザー」には後押しとなる割引クーポン付きの広告を、「特定の製品ページをじっくり閲覧したユーザー」にはその製品の詳しいレビューや導入事例を紹介する広告を表示するなど、顧客の検討段階に合わせたきめ細やかな訴求が可能です。
注意しないと逆効果?リマーケティング広告のデメリットと対策

リマーケティング広告は効果的な手法ですが、運用方法を誤るとユーザーに不快感を与え、企業のブランドイメージを損なうリスクもはらんでいます。
また、アプローチできる対象が限定されるという構造的なデメリットも理解しておく必要があります。
これらの注意点を事前に把握し、適切な対策を講じることが重要です。
デメリット1:ユーザーに不快感を与えブランドイメージを損なう可能性
同じ広告が何度も表示されると、 ユーザーに「しつこい」「追いかけられている」といったネガティブな印象を与え、かえってブランドイメージを損なう可能性があります。
特に、既に購入済みのユーザーに同じ商品の広告を出し続けるのは避けるべきです。
この対策としては、広告の表示回数を適切に制限する「フリークエンシーキャップ」の設定や、コンバージョンしたユーザーを配信対象から除外することが有効です。
デメリット2:アプローチできるユーザー数が限定される
リマーケティング広告は、過去にサイトを訪れたユーザーのみが対象となるため、アプローチできる母数がサイト訪問者数に限定されます。
そのため、 リマーケティングだけではリーチできる範囲が狭く、事業の拡大には繋がりません。
あくまで既存の見込み顧客に対する施策と位置づけ、新規顧客を獲得するための検索広告やSNS広告など、他の広告手法と組み合わせて運用することが不可欠です。
ECサイトの集客で売上を伸ばす方法については「ECサイトの集客で売上を伸ばす方法」で詳しく紹介しています。
ユーザーに嫌われないための3つの運用ポイント

リマーケティング広告の効果を最大化するには、広告を「しつこい」と感じさせず、ユーザーにとって有益な情報として届ける工夫が不可欠です。
表示回数の制御、配信対象の最適化といった技術的な設定を適切に行うことで、広告費の無駄をなくし、ブランドイメージの低下を防ぐことができます。
これから紹介する3つのポイントは、効果的なリマーケティング施策に必須の要素です。
ポイント1:フリークエンシーキャップで広告の表示回数を制限する
フリークエンシーキャップとは、同一ユーザーに対して広告を表示する回数の上限を設定する機能です。
この設定方法により、広告の過度な露出を防ぎ、ユーザーの不快感を軽減します。
Google広告などのプラットフォームでは、キャンペーン設定画面で「1日あたり」「1週間あたり」といった単位で表示回数の上限を簡単に設定できます。
商材やキャンペーンの目的に応じて適切な回数を見つけることが重要です。
ポイント2:コンバージョンしたユーザーを配信対象から除外する
すでに商品を購入したり、資料請求を完了したりしたユーザーに同じ広告を配信し続けるのは、 広告費の無駄遣いになるだけでなく、ユーザー体験を損ないます。
コンバージョンしたユーザーを計測するタグを設置し、そのユーザーを含むオーディエンスリストを作成します。
そして、広告キャンペーンのターゲティング設定で、このリストを「除外リスト」として設定する方法で、無駄な配信を停止できます。
ポイント3:関連性の低いユーザーには広告を配信しない
サイト訪問者全員が同じ熱量を持っているわけではありません。
「トップページのみ閲覧してすぐ離脱したユーザー」と「複数の商品ページを比較検討したユーザー」では、明らかに後者の方が見込み度が高いと言えます。
オーディエンスリストを作成する際に、「サイト滞在時間」や「閲覧ページ数」といった条件でユーザーを絞り込み、関心度の高いリストを作成する方法で、より効果的な広告配信が可能になります。
初心者でも簡単!Google広告でのリマーケティング設定4ステップ

リマーケティング広告は、正しい手順を踏めば初心者でも設定可能です。
ここでは、Google広告を例に、タグの設置から広告配信を開始するまでの具体的な4つのステップを解説します。
この手順に沿って進めることで、効果的なリマーケティング設定の基礎を固めることができます。
ステップ1:Webサイトにリマーケティングタグを設置する
まず、サイト訪問者の情報を収集するための「リマーケティングタグ」をWebサイトに設置します。
このタグは、Google広告の管理画面内「ツールと設定」>「オーディエンスマネージャー」>「データソース」から取得できます。
取得したタグは、サイトのすべてのページのHTMLソースコード内、タグの直後に貼り付けます。
Googleタグマネージャー(GTM)を利用すると、コードを直接編集せずにタグを管理できるため、より安全かつ効率的な設定方法として推奨されます。
ステップ2:再アプローチしたいユーザーのオーディエンスリストを作成する
タグの設置が完了したら、広告を配信する対象となるユーザーのリストを作成します。
Google広告のオーディエンスマネージャーからセグメントを作成し、ウェブサイトを訪れたユーザーなどのルールを設定します。
過去30日間にカートページを訪れたユーザーや特定のランディングページを訪問したユーザーなど、マーケティングの目的に応じた多様なリスト設定方法があります。
ステップ3:リマーケティング用のキャンペーンと広告グループを準備する
次に、作成したリストに広告を配信するためのキャンペーンと広告グループを準備します。
Google広告で新しいキャンペーンを作成し、目標を「販売促進」や「見込み顧客の獲得」などに設定します。
キャンペーンタイプは、バナー広告を配信できる「ディスプレイ」が一般的です。
続いて広告グループを作成し、そこに配信したい広告クリエイティブ(画像やテキスト)を登録します。
ステップ4:作成したオーディエンスリストを広告グループに紐付ける
最後に、ステップ2で作成したオーディエンスリストを、ステップ3で準備した広告グループの配信対象として設定します。
広告グループの編集画面にある「オーディエンス」セクションで、ターゲット設定として作成済みのリストを選択します。
この紐付け作業により、指定したユーザーリストに対して準備した広告が配信されるようになります。
以上でリマーケティング広告の基本的な設定方法は完了です。
サイト内での離脱を防ぎリマーケティング効果を高める「WEB接客」

リマーケティング広告は、あくまでユーザーをサイトに「呼び戻す」ための施策です。
最終的な購入を後押しするには、再訪したサイト内での体験が決定的な役割を果たします。
再訪したユーザーの過去の行動や興味関心に基づき、最適なタイミングでクーポンを提示したり、関連商品を推薦したりすることで、離脱を防ぎ、購入へとスムーズに導きます。
売上・利益を最大化する統合型MA・CRMプラットフォームについては「統合型MA・CRMプラットフォーム「EC intelligence」」で詳しく紹介しています。
広告で呼び戻したユーザーを逃さない!サイト内での最適なアプローチが重要な理由
リマーケティング広告によってせっかくサイトに再訪問してくれたユーザーも、求めている情報がすぐに見つからなかったり、購入までの手続きが複雑だったりすると、再び離脱してしまいます。
そこで重要になるのが「WEB接客」です。
WEB接客とは、サイト訪問者の属性や行動履歴に合わせて、ポップアップでのクーポン表示やチャットでのサポートなど、最適な情報提供を自動で行う仕組みです。
広告からの流れを途切れさせず、スムーズな購買体験を提供することで、コンバージョン率を高める効果が期待できます。
WEB接客のパーソナライズについては「WEB接客をパーソナライズするには?」で詳しく紹介しています。
【調査データ】約6割が決済中のポップアップで購入を断念した経験あり
ただし、WEB接客は使い方を誤ると逆効果になり得ます。
株式会社シナブルの調査(2026年6月・スマホEC利用者1,003名)によると、実に 約6割(63.5%)のユーザーが「決済中のポップアップが表示されたことで購入を断念した経験がある」と回答しています。
このデータは、ユーザーの行動を妨げるような一方的な情報提供が、いかに販売機会の損失に直結するかを示しています。
リマーケティング施策においても、パーソナライズされていないWEB接客は逆効果です。
EC決済で顧客が離脱する原因と改善策については「EC決済での顧客離脱の原因と改善策」で詳しく紹介しています。
顧客データと連携したパーソナライズ接客でリマーケティング効果を最大化
リマーケティング広告の効果を最大化する鍵は、顧客データとWEB接客ツールを連携させたパーソナライズにあります。
例えば、MA(マーケティングオートメーション)と連携できる『ECIntelligence』のようなツールを活用すれば、「特定の商品をカートに入れたまま離脱したユーザー」が広告経由で再訪した際に、「カート内の商品をリマインドするポップアップ」や「その商品に使える限定クーポン」を自動で表示できます。
このように 広告からサイト内まで一貫したメッセージを届けることで、ユーザーの購買意欲を効果的に高めます。
WEB接客機能については「WEB接客で売上成長にコミット」で詳しく紹介しています。
リマーケティングに関するよくある質問
リマーケティングに関して、運用担当者が抱きやすい疑問点をまとめました。
用語の使い分けから、具体的な運用上のコツ、そしてBtoBビジネスへの応用まで、よくある質問に簡潔にお答えします。
リマーケティングとリターゲティングは、結局どちらを使えばいいですか?
基本的には同じ広告手法ですが、Google広告で設定する際は「リマーケティング」という名称で機能を探してください。
Yahoo!広告など他の媒体では「リターゲティング」と呼ばれます。
広告媒体によって呼称が違うだけで、手法の本質は同じであると理解しておけば問題ありません。
リマーケティング広告は、しつこいと思われないようにするにはどうすればいいですか?
広告の表示回数上限(フリークエンシーキャップ)を設定し、購入済みユーザーを配信対象から除外することが最も効果的です。
また、広告を表示する期間を限定したり、サイト訪問からの経過日数に応じて広告内容を変えたりするなど、ユーザーの状況に合わせたきめ細やかなリマーケティング施策の調整が不快感を減らします。
BtoB商材でもリマーケティングは効果がありますか?
はい、非常に効果的です。
BtoB商材は検討期間が長く、複数人が意思決定に関わることが多いため、リマーケティングで継続的に接触を持つことは有効です。
例えば、料金ページを見たユーザーに導入事例の広告を表示するなど、検討段階に合わせた情報提供でナーチャリングに繋がります。
まとめ
リマーケティング広告は、一度サイトを訪れた関心の高いユーザーに再アプローチできる、費用対効果に優れた手法です。
リターゲティングとの言葉の違いを理解し、Cookie規制といった最新動向も踏まえつつ、適切なオーディエンスリストの作成やフリークエンシーキャップの設定といった運用を行うことが成果に繋がります。
特に、広告で呼び戻したユーザーを確実にコンバージョンさせるためには、サイト内でのWEB接客を組み合わせ、一貫した顧客体験を提供することで、その効果を最大化できるでしょう。
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