活用・施策事例

ECサイトの閲覧履歴を表示する効果は?置き場所と実装方法の決め方

ECサイトの閲覧履歴を表示する効果は?置き場所と実装方法の決め方

閲覧履歴の置き場所は、1か所に絞って決める必要がありません。置ける場所すべてに表示して、効果が出た場所を残すほうが早く答えにたどり着けます。

この記事でわかること
✓ 閲覧履歴を表示すると、回遊と購入がどう変わるか
✓ トップページ・商品詳細・マイページ、それぞれの役割
✓ 置き場所を1か所に絞らなくていい理由
✓ 実際に閲覧履歴を表示したA/Bテストの結果

なぜECサイトに閲覧履歴の表示が必要なのか?


ユーザーの約4人に1人が、閲覧・購入履歴を商品を探す手段として使っているからです。
ECサイトで商品を探す手段は、検索窓でのキーワード検索やカテゴリ・メニューに次いで、閲覧・購入履歴が24.7%、おすすめ・ランキングが24.0%でした(シナブル調べ, n=1,030, 2025年12月)。
一度興味を持った商品を簡単に見つけ直せる機能は、ユーザーにとって便利なだけでなく、サイト運営者にとっても多くのメリットをもたらします。
具体的には、回遊性の向上、購入確度の向上、そして顧客体験の向上という3つの大きな利点が存在します。

サイト内の回遊性はどう高まる?

一度閉じた商品ページにも、履歴からワンクリックで戻れるようになります。
これにより、複数の商品をストレスなく比較検討でき、気になる商品を見失うことがありません。

「あの商品はどこにあっただろう」と探す手間が省けるため、ユーザーはサイト内を巡りやすくなり、結果として滞在時間の増加にもつながります。

なぜ比較検討を助けると購入確度が上がる?

候補となる商品を簡単に見比べられる環境が、ユーザーの意思決定を後押しするからです。 「他に見るものがない」と感じた時点で、ユーザーはサイトを離れます。
特に、アパレルや家電製品のように、複数の商品を比較して最適な一つを選びたい場合、この機能は非常に有効です。
迷っているユーザーの背中を押すことで、カート投入、そして最終的な購入へと結びつけやすくなるのです。

再訪時の顧客体験はどう変わる?

中断したところから、すぐに買い物を再開できるようになります。
一度サイトを離れたユーザーが再訪した際に、前回の閲覧履歴表示があれば、スムーズに買い物を再開できます。
これにより、ユーザーの利便性が大幅に向上し、優れた顧客体験の提供につながります。
中断したところからすぐに始められる快適さは、顧客満足度を高め、リピート購入の促進にも寄与します。

閲覧履歴はどのような仕組みで保存される?


ブラウザに保存される「Cookie(クッキー)」か、サーバー側で管理される「会員ID」との紐付けのいずれかです。
どちらの方法も、ユーザーが閲覧した商品ページの情報をログとして記録し、それを再度サイト上に表示させるという基本的な流れは同じです。

Cookieを利用する方法では、閲覧した商品のIDやURLをユーザー自身のブラウザ内に一時的に保存します。会員登録をしていない非ログイン状態のユーザーにも閲覧履歴を表示できる点が利点で、多くのECサイトで採用されています。 ただし、ユーザーがブラウザのCookieを削除したり、別のデバイスからアクセスしたりすると、履歴は引き継がれません。

会員IDと紐づける方法では、ログインしたユーザーの閲覧ログをサーバー側で保存・管理します。スマートフォンやPCなど異なるデバイスからログインしても同じ閲覧履歴を共有でき、顧客データとして蓄積されるため、パーソナライズされたマーケティング施策にも活用できます。

閲覧履歴はどの方法で実装する?


利用しているプラットフォームによって選択肢が変わります。主な方法は以下の通りです。

1つめは、Shopifyの専用アプリを導入する方法です。アプリストアには閲覧履歴機能を追加できるアプリが複数提供されており、コードの知識がなくても管理画面から設定を完了できます。

2つめは、Shopifyのテーマファイルを構成する「Liquid」のコードを直接編集する方法です。表示する場所、商品数、デザインを細かく設定でき、サイト全体のトーン&マナーに合わせられますが、コードの知識が必要です。 実施する際は必ずテーマのバックアップを取ってください。

3つめは、EC-CUBEで公式のオーナーズストアから閲覧履歴表示用のプラグインを導入する方法です。有料・無料があり、機能やカスタマイズ性が異なります。

4つめは、JavaScriptを使って独自に開発する方法です。閲覧した商品IDをCookieやlocalStorageに保存し、そのIDを読み出して商品情報をページ上に描画します。フルスクラッチでサイトを構築している場合や、既存のアプリでは要件を満たせない場合に選択します。

どの方法を選ぶ場合も、実装そのものより重要なのは、どこに表示するかと、表示した結果どうなったかを測れるかどうかです。

閲覧履歴を表示するだけでは不十分?


不十分です。閲覧履歴はあくまで過去の行動を振り返るためのもので、
ユーザーがまだ知らない商品との出会いは作れないからです。
一方、値引き・セール以外で嬉しい情報として 「購入した商品の関連商品の提案」を 
挙げた人は30.2%でした
(シナブル調べ, n=1,010, 2025年8月実施)。
履歴で過去に戻す導線と、まだ見ていない商品へ広げる導線は、別々に用意する必要があります。

履歴データでおすすめ商品の精度はどう上がる?

閲覧した商品のカテゴリ、ブランド、価格帯などの傾向を分析し、類似商品や関連商品を提案します。
これにより、ユーザーは自身の好みに近い新たな商品と出会う機会が増えます。

EC Intelligenceのレコメンドは、テキストマイニングと協調フィルタリングのハイブリッドで動作し、ランキング表示にも対応しています。

閲覧履歴を起点に、サイト外からどう再アプローチする?

サイト内での行動を配信のトリガーにして、メールやLINEで通知します。
例えば、ある商品を閲覧したが購入しなかった顧客に対し、後日その商品や関連商品を通知する施策が考えられます。
顧客の興味関心が高いタイミングでアプローチでき、再訪と購入を促すことが可能です。

EC Intelligenceでは、メール・LINE・SMS・アプリプッシュ・ブラウザ通知・オンデマンドDMの6チャネルを一元管理し、1つのシナリオでクロスチャネル配信ができます。閲覧商品や再入荷をトリガーにした配信を、テンプレートから設定できます。

閲覧履歴はどこに表示するのが効果的?


ユーザーのサイト内での行動フローを考慮し、ページごとに役割を分けて配置します。
トップページ、商品詳細ページ、マイページでは、閲覧履歴が果たす役割がそれぞれ違います。

トップページには何のために置く?

再訪ユーザーに、前回の続きから買い物を再開してもらうためです。
サイトを再訪したユーザーが、前回見ていた商品の続きを読む形でスムーズに買い物を再開できるよう促します。
ファーストビューに近い、目につきやすい場所に配置することで、ユーザーはすぐに前回の検討状況を思い出し、サイト内を深く回遊するきっかけになります。

EC Intelligenceでは、トップページのファーストビューに閲覧履歴を表示する施策を、全訪問者に対して設定できます。スペースが取れない場合は、閲覧履歴を表示するアイコンを設置する方法もあります。
ECサイトのトップページでの離脱原因と改善策については「ECサイトのトップページで離脱される原因と改善策」で詳しく紹介しています。

商品詳細ページでは関連商品とどう使い分ける?

閲覧履歴はユーザー自身の行動記録、レコメンドはサイトからの提案として使い分けます。
商品詳細ページでは、閲覧履歴表示が比較検討のツールとして機能します。
しかし、このページには「この商品を見た人はこれも見ています」といったレコメンド機能も表示されることが多く、役割の棲み分けが重要です。

両者を混同させず、例えばページ下部に閲覧履歴を、サイドカラムに関連商品を配置するなど、ユーザーが直感的に理解できるレイアウトを心がけます。

マイページに置く意味は?

「あなたのためのページ」というパーソナライズされた体験を強化できることです。
マイページは、顧客一人ひとりのための専用スペースです。
過去に閲覧した全商品を一覧で確認できるなど、他のページよりも多くの情報を表示することで、顧客自身の購買履歴の一部として活用してもらうことが可能です。

表示する商品数やデザインで気をつけることは?

多すぎると情報過多になり、少なすぎると機会損失につながります。
適切な数は商材や表示場所によって変わるため、共通の正解はありません。判断の材料になるのは、その枠から商品ページへ進まれているかどうかです。
デザインはサイト全体のトンマナと合わせ、メインコンテンツの邪魔にならないように配慮が必要です。

商品画像、商品名、価格といった基本情報を分かりやすくコンパクトに表示する設定が求められます。

閲覧履歴の置き場所は1か所に絞るべき?


絞る必要はありません。 置ける場所すべてに表示して、効果が出た場所を残すほうが早く答えにたどり着けます。
置き場所を1か所に決めようとすると、「どこが正解か」を検討する時間だけがかかります。しかし実際には、トップページで効くサイトもあれば、商品詳細ページで効くサイトもあり、商材と顧客によって変わります。

EC Intelligenceのレコメンドには、表示数(インプレッション)課金がありません。トップ、商品詳細、カートなど複数箇所に設置しても、コストは増えない仕組みです。
そのため、まず複数箇所に置いて効果を比較し、成果が出た場所を残すという進め方ができます。置き場所を机上で決めるのではなく、試してから決める順番に変えられる、ということです。

閲覧履歴を表示すると成果はどう変わる?


あるECサイトでは、再訪問したユーザー向けに閲覧履歴の表示を導入し、 約25%のプラス効果を確認しました。
CV率は10.05%から16.18%へ、クリックした人に対するCV率は25.76%から32.24%へと改善しています。

この事例で効いたのは、再訪問者という対象を絞ったことです。初めて訪れた人には閲覧履歴がないため、表示しても意味がありません。一方、一度離れて戻ってきた人は、前回の続きを探している可能性が高い状態です。
EC Intelligenceでは、訪問回数やデバイス、流入元広告などの条件でコンテンツを出し分けられます。全接客コンテンツのA/Bテストと効果の自動計測にも対応しているため、表示した結果どうなったかをそのまま確認できます。

閲覧履歴の表示でよくある疑問は?

ECサイトへの閲覧履歴表示機能の実装や運用を検討する中で、多くの担当者が抱える共通の疑問があります。

閲覧履歴はどのくらいの期間保存するのが適切ですか?

保存期間に法的な決まりはなく、自社の顧客の購買サイクルに合わせて設定します。検討期間が長い商材は長めに、日用品のように購入サイクルが短い商材は短めに調整するのが基本です。長すぎると情報が古くなり、短すぎると再訪時の利便性が損なわれる可能性があります。
判断に迷う場合は、再訪問までの日数の分布を見て、多くのユーザーが戻ってくる期間をカバーできる長さに設定します。

閲覧履歴とおすすめ商品(レコメンド)はどう使い分けるべきですか?

閲覧履歴表示は「ユーザー自身の過去の行動記録」であり、比較検討を助ける機能です。
一方、おすすめ商品(レコメンド)は「サイト側からの新たな提案」であり、未知の商品との出会いを創出する役割を担います。
両者は目的が異なるため、併用するのが最も効果的です。

例えば、商品ページでは閲覧履歴で比較を促し、レコメンドで合わせ買いを提案する、といった使い分けが考えられます。

ユーザーが自分で閲覧履歴を削除できる機能は必要ですか?

はい、プライバシーへの配慮とユーザーコントロールの観点から、削除機能を設けることが推奨されます。
ユーザーが自身の行動履歴を管理できる選択肢を提供することは、サイトへの信頼性を高める上で重要です。

特に、プレゼントを探している場合など、履歴を見られたくないケースも想定されるため、オン・オフ機能や個別の削除機能を実装することが望ましい対応です。

Cookieを使う場合、何に気をつければいいですか?

Cookieで取得した情報の取り扱いについて、ユーザーに明示することです。
プライバシーポリシーには、Cookieを利用して閲覧履歴などの情報を取得している旨を記載します。取得する情報の種類、利用目的、第三者提供の有無、保存期間、Cookieを無効化する方法などを明記し、ユーザーが自身の情報を理解・管理できる状態にしておきます。

表示ルールの詳細は、個人情報保護委員会などの公表資料で確認し、判断に迷う場合は専門家に相談してください。

この記事の要点は?

閲覧履歴の表示は、ユーザーの回遊性を高め、比較検討を容易にすることでCVR向上に貢献します。
実装方法は、ShopifyのアプリやEC-CUBEのプラグインを使えばノーコードで設定でき、LiquidやJavaScriptでコードを編集すればより自由にカスタマイズが可能です。仕組みはCookieや会員IDとの紐付けが基本です。

ただし、実装そのものより成果を左右するのは、どこに表示するかです。そして置き場所は、1か所に絞って決める必要がありません。複数箇所に置いて効果を比較し、成果が出た場所を残す。この進め方であれば、机上で正解を探さずに済みます。

自社サイトの回遊は今どの状態?

閲覧履歴やレコメンドが効いているかどうかは、商品ページからの回遊率と、1人あたりの閲覧商品数を見れば確認できます。ただし、自社だけで見ていると、どこから手を付けるべきかの判断が難しい場合もあります。

EC Intelligenceを提供する株式会社シナブルでは、ECサイトのCVRの伸びしろを無料で診断しています。閲覧履歴やレコメンドを含む発見性・マッチングの観点から、現在地を確認できます。



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記事を書いた人
株式会社シナブル

ECサイト特化のデータ分析&マーケティングシステム「EC Intelligence」を開発。「テクノロジーで商取引を革新し、ショッピング体験をより良くする」というビジョンの元、ECサイト・オムニチャネルの体験がさらに豊かになる情報を発信します。

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